ふるさと納税の仕組みとは?メリット・デメリットをわかりやすく解説
ふるさと納税とは、今まで自分の住む地域に納めていた税金を好きな地域に納めることで、その地域の食品や特産品などを手に入れられる制度です。
この記事では、ふるさと納税の仕組みや手続きの流れ、メリット・デメリットを解説しています。今まで気になっていても難しそうと思って躊躇していた方は、ぜひ参考にしてみてください。
ふるさと納税を行える上限額は、年収・家族構成等によって異なります。3ステップで寄付の限度額がわかる「かんたんシミュレーター」で上限額の目安をチェック!
ふるさと納税とは
ふるさと納税とは、自分の選んだ自治体に寄付をすることで、税金の控除を受けられる制度です。2008年に始まったこの制度は、生まれ故郷や応援したい自治体に寄付をすることで、地域の活性化を促進することを目的としています。
寄付をすると、お礼の品として自治体から特産品などがもらえるのも魅力の一つです。寄付金額のうち2,000円を超える部分については、一定の上限まで、住民税と所得税から控除されます。この制度を利用することで、納税者は自分の意思で納税先を選択できるようになり、自治体は寄付を募ることで財源の確保につなげることができます。
ふるさと納税の仕組み
ふるさと納税の仕組みは、自分が住民登録している自治体ではなく、自分で選んだ任意の自治体に寄付をするというものです。この寄付金のうち2,000円を超える部分について、一定の上限まで、翌年度の住民税と所得税から控除される仕組みになっています。
控除の上限額は、年収などに応じて変動しますが、概ね年収の6~7%程度とされています。例えば、任意の自治体に10万円のふるさと納税をしたとすると、実質的な自己負担は2,000円で、残りの9万8,000円が税金から控除されることになります。
ただし、控除を受けるためには、ワンストップ特例制度の利用や確定申告など、一定の手続きが必要です。また、寄付先の自治体から特産品などの返礼品がもらえることが多いですが、その内容は自治体によって異なるため、事前の確認が大切です。
ふるさと納税を行える上限額は、年収・家族構成等によって異なります。3ステップで寄付の限度額がわかる「かんたんシミュレーター」で上限額の目安をチェック!
ふるさと納税のメリット
ふるさと納税の最も大きなメリットは、効率的に税金を納められることです。今までは特に見返りのなかった住民税や所得税の納付を、「返礼品」というお返し付きで納付できるようになります。同じ金額を納税するのであれば、ふるさと納税を活用して返礼品をもらった方が、自分と自治体の両方にメリットがあります。
今回は、以下3つのメリットについて解説します。
-
実質負担2,000円で好きな返礼品がもらえる
-
寄付金控除が受けられる
-
食料品をメインで選べば食費の節約も可能
実質負担2,000円で好きな返礼品がもらえる
ふるさと納税の大きなメリットの一つは、実質2,000円の自己負担で、自治体から魅力的な返礼品がもらえることです。寄付金額のうち2,000円を超える部分は、一定の上限まで税金控除されます。
たとえば、税金控除の上限額が50,000円の人が50,000円分ふるさと納税で寄付した場合、48,000円分の税金が控除されるだけでなく、寄付金額に応じたさまざまな返礼品が自治体からもらえるのです。具体的な返礼品には次のようなものがあります。
-
食品)肉類、魚介類、果物、野菜、お米、お酒、お菓子など
-
工芸品)カバン、洋服、アクセサリー、陶器・漆器など
-
サービス)ホテル宿泊券、食事券、ゴルフ場利用券、美容体験など
この恩恵を最大限に受けられるのは、控除上限額が高い高所得者層です。年収が高いほど、控除上限額が大きくなるため、より高価な返礼品を実質2,000円で手に入れることができます。また、返礼品の内容に魅力を感じる人にとっても、このメリットは大きいと言えるでしょう。
ただし、控除上限額が低い低所得者層にとっては、このメリットを十分に享受できない可能性があります。また、返礼品の内容によっては、その価値を2,000円以上と感じられない場合もあるでしょう。返礼品の内容は、自治体によって異なるため、自分の好みに合ったものがあるかどうかを確認することが大切です。
寄付金控除が受けられる
寄付金額のうち2,000円を超える部分が、一定の上限まで所得税と住民税から控除される点もメリットの一つです。この控除のメリットを最も受けやすいのは、所得税率の高い高所得者層です。所得税は累進課税になっているため、年収が高いほど税率も高くなります。そのため、所得税からの控除額も大きくなり、より多くの税金を控除できることになります。
また、ふるさと納税の控除額には上限があるため、年収の割に納税額が少ない人にとっても、控除の恩恵を十分に受けられる可能性があります。例えば、年収300万円程度で住民税の納税額が少ない人の場合、ふるさと納税による控除でほぼ住民税がゼロになるケースもあります。
ただし、そもそも住民税を納めていない方にとっては、控除を受けられないというデメリットがあります。また、控除を受けるためには、ワンストップ特例制度の利用や確定申告など一定の手続きが必要なので、手続きの手間を負担に感じる人もいるかもしれません。
食料品をメインで選べば食費の節約も可能
ふるさと納税の返礼品として、食料品を中心に選ぶことで、日々の食費を節約できるというメリットもあります。自治体によっては、地元の特産品や高級食材などを返礼品として提供しているところもあり、それらを上手に活用すれば、食費の一部を賄うことができます。
特に、子育て世帯や単身赴任者など、食費が家計に占める割合が大きい場合は、返礼品で食材を調達することで、支出を抑えられる可能性があります。また、高級食材や普段は手に入れにくい食品を、お得に入手できるチャンスにもなります。
ただし、返礼品の内容は自治体によって大きく異なります。希望する食材を扱っている自治体を探す必要があるため、選択肢が限られてしまう可能性も。また、常温保存できない食品の場合、配送のタイミングや保存方法など、管理が難しい面もあるかもしれません。自分の生活スタイルに合った返礼品を選ぶことが、このメリットを活用するポイントと言えるでしょう。
ふるさと納税のデメリット
ふるさと納税を考えるとき、デメリットに目を向けておくことも大切です。特にふるさと納税に節税・減税効果があると勘違いしている人が多く見られます。
-
節税・減税効果はない
-
控除上限額を超えて寄付した場合、自己負担になる
-
控除を受けるには申請手続きが必要
節税・減税効果はない
ふるさと納税を利用しても、トータルでの納税額は変わりません。なぜなら、ふるさと納税は、税金の使途を変更しているだけで、税額そのものを減らしているわけではないからです。つまり、ふるさと納税先の自治体に支払った分、元々住んでいる自治体への納税額が減るだけで、トータルの納税額は変わらないのです。
ただし、本来の納税では税金を納めるだけのところ、ふるさと納税を利用することで、納税しつつ返礼品がもらえるというメリットがうまれます。そのため、納税するだけに比べれば、家計に与える影響が変わる可能性があるため、この部分を有効に活用していくのがおすすめです。
控除上限額を超えて寄付した場合、自己負担になる
ふるさと納税の控除には上限があり、この控除上限額を超えて寄付をした場合、超過分は自己負担になってしまいます。つまり、控除上限額が10万円の人が、15万円のふるさと納税をした場合、5万円分は控除が受けられず、自己負担になるということです。
このデメリットは、特に控除上限額を把握していない人や、複数の自治体に寄付をする人に影響が大きいと言えます。控除上限額は、年収や家族構成によって変わるため、自分の上限額を正確に理解していないと、予期せぬ自己負担が発生するリスクがあります。また、複数の自治体に寄付をする場合、合計金額が控除上限額を超えやすいため、注意が必要です。
対応策としては、まず自分の控除上限額を正確に把握することが大切です。その上で、寄付金額の合計が上限額を超えないように、計画的にふるさと納税を行うことが重要といえます。
控除を受けるには申請手続きが必要
ふるさと納税で控除を受けるためには、所定の申請手続きが必要になります。具体的には、ふるさと納税先の自治体から受け取った「寄附金受領証明書」を添付して、確定申告を行うか、ワンストップ特例制度の申請書を提出するかのどちらかが必要です。この申請手続きを行わないと、控除を受けることができません。
普段は確定申告を行っていない人にとって、控除を受けるためだけに確定申告を行うのは、手間と時間がかかる作業です。また、確定申告の方法がよくわからない人にとっても、申請手続きのハードルは高く感じられるでしょう。
会社員などの給与所得者であれば、ワンストップ特例制度が利用できます。この制度を利用すれば、確定申告をせずに、簡単な申請書の提出だけで控除を受けられます。ただし、ワンストップ特例制度は、1年間で5つまでの自治体にしかふるさと納税をしていない場合に限るので、覚えておきましょう。
ふるさと納税はどんな人におすすめ?
ふるさと納税のメリットとデメリットを理解した上で、特におすすめなのは以下のような人です。
-
住民税・所得税を納税している人(とくに、控除上限額が高い高所得者層)
-
返礼品の内容に魅力を感じる人
-
地方自治体への貢献に関心がある人
住民税・所得税を納税している人は、ふるさと納税をすることで税金が控除されるのでおすすめです。とくに、高所得者層は、控除上限額が高いため、より多くの寄付を実質2,000円の自己負担で行うことができます。また、返礼品の内容に魅力を感じる人は、良い品物を手に入れることができるでしょう。
地方自治体への貢献に関心がある人にとっては、ふるさと納税が地域を応援する良い機会になります。自分の生まれ故郷や応援したい地域に寄付をすることで、その地域の活性化に貢献できるのです。
一方、パートナーの扶養に入っていたり、年収103万円以下で働いていたりなど、そもそも住民税・所得税を納税していない人は、控除できる税金がないため、ふるさと納税のメリットを十分に享受できない可能性があります。
ふるさと納税で損する年収は?
ふるさと納税で損をする可能性があるのは、控除上限額が7,000円未満となる年収の人です。
ふるさと納税の返礼品の価値は寄付金額の3割以下と定められているため、控除上限額が7,000円の場合、寄付してもらえる返礼品の価値は2,100円となります。一方、ふるさと納税には2,000円の自己負担金がかかります。つまり、控除上限額が7,000円の場合、返礼品の価値(2,100円)と自己負担額(2,000円)がほぼ相殺されてしまうのです。
このような状況では、ふるさと納税による金銭的なメリットがほとんど享受できません。具体的には、年収300万円の共働き夫婦で大学生と高校生の子どもがいる家族などが、控除上限額7,000円未満となる年収に該当します。したがって、これらの年収の人がふるさと納税を行うと、寄付による地域貢献はできるものの、金銭的には損をする可能性が高いと言えるでしょう。
あわせて読みたい
ふるさと納税の控除上限額早見表
ふるさと納税の控除上限額は、年収と家族構成によって変動します。以下は、年収別・家族構成別の控除上限額の目安を示した早見表です。
独身 | 共働き※1 | 夫婦※2 | 共働き+子 (高校生) | 共働き+子 (大学生) | 夫婦+子 (高校生) | 夫婦+ 子2人 (高校生と大学生) | |
300万円 | 28,000 | 28,000 | 19,000 | 19,000 | 15,000 | 11,000 | ー |
350万円 | 34,000 | 34,000 | 26,000 | 26,000 | 22,000 | 18,000 | 5,000 |
400万円 | 42,000 | 42,000 | 33,000 | 33,000 | 29,000 | 25,000 | 12,000 |
450万円 | 52,000 | 52,000 | 41,000 | 41,000 | 37,000 | 33,000 | 20,000 |
500万円 | 61,000 | 61,000 | 49,000 | 49,000 | 44,000 | 40,000 | 28,000 |
550万円 | 69,000 | 69,000 | 60,000 | 60,000 | 57,000 | 48,000 | 35,000 |
600万円 | 77,000 | 77,000 | 69,000 | 69,000 | 66,000 | 60,000 | 43,000 |
650万円 | 97,000 | 97,000 | 77,000 | 77,000 | 74,000 | 68,000 | 53,000 |
700万円 | 108,000 | 108,000 | 86,000 | 86,000 | 83,000 | 78,000 | 66,000 |
750万円 | 118,000 | 118,000 | 109,000 | 109,000 | 106,000 | 87,000 | 76,000 |
800万円 | 129,000 | 129,000 | 120,000 | 120,000 | 116,000 | 110,000 | 85,000 |
850万円 | 140,000 | 140,000 | 131,000 | 131,000 | 127,000 | 121,000 | 108,000 |
900万円 | 151,000 | 151,000 | 141,000 | 141,000 | 138,000 | 132,000 | 119,000 |
※2:ふるさと納税を行う方の配偶者に収入がないケース
ただし、この早見表はあくまでも目安であり、実際の控除上限額は住んでいる地域によって異なります。正確な控除上限額を知りたい場合は、市区町村の住民税担当部署や最寄りの税務署、または税理士等の専門家に直接問い合わせましょう。
また、医療費控除や住宅ローン控除などの他の控除制度を利用している場合、控除上限額が減少する可能性があるため、注意が必要です。ふるさと納税を行う前に、必ず自分の控除上限額を正確に把握しておくことが賢明だと言えるでしょう。
ふるさと納税の控除限度額の計算方法
ふるさと納税の控除限度額を知るには、自分の年収を把握することと家族構成だけわかれば大丈夫です。総務省のホームページに早見表もあるので、少しでもふるさと納税が気になっているなら、まずは具体的な控除限度額を計算してみましょう。ふるラボの「かんたんシミュレーター」なら年収と家族構成を入力するだけで、計算結果をすぐに確認できます。
ただし「ふるラボ」のシミュレーターで調べられる金額は簡易的なもので、保険料控除などは考慮されていません。詳しい上限額を調べる際は、総務省の納税額早見表と付け合わせて確認するか、お住まい(ふるさと納税をした翌年1月1日時点)の市区町村にお問い合わせください。
ふるさと納税で住民税はいくら安くなる?
住民税の控除額は次の2つの式の計算結果の合算となります。
住民税からの控除(基本分)=(ふるさと納税の寄付金額-2,000円)×10%
住民税からの控除(特例分)=(ふるさと納税の寄付金額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税の税率)
-
年収400万円、独身の場合:控除限度額=42,000円
住民税からの控除(基本分+特例分)=(42,000円-2,000円)×10%+(42,000円-2,000円)×(100%-10%-20%)=32,000円
-
年収600万円、独身の場合:控除限度額=77,000円
住民税からの控除(基本分+特例分)=(77,000円-2,000円)×10%+(77,000円-2,000円)×(100%-10%-20%)=60,000円
-
年収800万円、独身の場合:控除限度額=129,000円
住民税からの控除(基本分+特例分)=(129,000円-2,000円)×10%+(129,000円-2,000円)×(100%-10%-20%)=10万1,600円
ふるさと納税で所得税の還付はいくら受け取れる?
所得税の控除額は次の式の計算結果となります。
所得税からの控除(基本分)=(ふるさと納税の寄付金額-2,000円)×(所得税の税率)
-
年収400万円、独身の場合:控除限度額=42,000円
所得税からの控除=(42,000円-2,000円)×20%=8,000円
-
年収600万円、独身の場合:控除限度額=77,000円
所得税からの控除=(77,000円-2,000円)×20%=15,000円
-
年収800万円、独身の場合:控除限度額=129,000円
所得税からの控除=(12,900円-2,000円)×20%=25,400円
ふるさと納税を行える上限額は、年収・家族構成等によって異なります。3ステップで寄付の限度額がわかる「かんたんシミュレーター」で上限額の目安をチェック!
ふるさと納税に必要な書類一覧
ふるさと納税を行うには次の書類の原本やコピーを用意する必要があります。
-
源泉徴収票
自分の年収や納めた所得税額などが記載された書類のこと。一般的には12月の年末調整の後に会社から受け取れます。
-
寄附金受領証明書
返礼品とは別に送付される書類です。再発行が難しいため、届いたら必ず保管しておきましょう
-
還付金受取口座の情報
確定申告をした後、所得税の還付金は指定した銀行口座に入金されます。自分の名義で開設した銀行口座の通帳のコピーが必要です。
-
個人番号(マイナンバー)確認書類
マイナンバーを確認できる書類のこと。マイナンバーカード、マイナンバー通知カード、マイナンバーが記載された住民票があたります。マイナンバーカードを持っていれば、その表面と裏面をコピーすればOKです。マイナンバー通知カードや住民票しかない場合は、本人確認書類も必要になります。
-
本人確認書類
マイナンバーカードがない場合に必要です。マイナンバーの持ち主であることを確認できる書類のこと。運転免許証やパスポートなどの写真付き身分証明書があたります。
-
寄附金税額控除に係る申告特例申請書
「ワンストップ特例制度」を利用する場合に必要な書類です。ふるさと納税時に自治体からの送付を申し込んだり、総務省や各自治体のホームページからダウンロードしたりして入手できます。
ふるさと納税の利用から寄附金控除をするまでの手続き
ふるさと納税を利用し、税金の控除を受けるまでの手順をご紹介します。多くの人が「控除上限額の算出」と「確定申告/ワンストップ特例制度」を難しく感じているでしょう。
ここでは具体的な手順とともに解説します。
-
寄付金控除上限額がいくらなのか確認する
-
欲しい返礼品(寄付する自治体)を選んで寄付する
-
確定申告またはワンストップ特例制度を通して「寄附金控除」の申請を行う
-
翌年の住民税決定通知書で控除を受けられているか確認する
1.寄附金控除上限額がいくらなのか確認する
具体的な寄付金控除上限額を算出するためには、配偶者の有無、扶養家族の有無、その他各種控除額が必要です。これらは源泉徴収票に書かれているため、事前に用意しておくと便利です。
簡単に寄付金控除上限額を計算するためには、シミュレーション機能の利用がおすすめです。
《STEP 1:自分の年収と家族構成を入力》
《STEP 2:シミュレーション結果がすぐに出てきます》
ふるさと納税を行える上限額は、年収・家族構成等によって異なります。3ステップで寄付の限度額がわかる「かんたんシミュレーター」で上限額の目安をチェック!
2.欲しい返礼品(寄付する自治体)を選んで寄付する
自分が欲しい返礼品を自由に選びましょう。返礼品として食品を選ぶ場合には、食品の量にも注意が必要です。複数月に分けて食べきれる量に寄付しましょう。欲しい返礼品が決まったら、寄付する前に合計金額を計算し、寄付金控除上限額よりも下回っていることを必ず確認しておきます。
寄付した自治体から返礼品が贈られてきます。また、寄附金受領証明書も返礼品とは別に送付されてきます。もし、寄附金受領証明書を紛失してしまった場合、原則として再発行ができません。送付されてきたら大切に保管しておきましょう。
3.確定申告またはワンストップ特例制度を通して「寄附金控除」の申請を行う
ふるさと納税を行ったら、税金からの控除を受けるために申請手続きを行います。申請手続きには確定申告を利用するパターンとワンストップ特例制度を利用するパターンの2種類があります。
サラリーマンなどの給与所得者の場合、1年間の寄付先が5自治体までであれば、ワンストップ特例制度が利用できます。確定申告に慣れていない場合は必要書類が少なく、手続きが容易なワンストップ特例制度が便利です。
ただし申請期限(翌年1月10日※必着)を過ぎてしまった場合や、寄付先が6自治体以上の場合は確定申告を行う必要があるため、注意が必要です。
サラリーマンでも医療費控除や副業収入の申告がある場合、また自営業者の場合はふるさと納税もまとめて確定申告する方がおすすめです。ちなみに、ワンストップ特例制度と確定申告の両方で申告した場合、ワンストップ特例制度による控除の方が無効になります。
確定申告をする必要がある場合
確定申告に必要な書類は以下の通りです。
-
源泉徴収票
-
寄附金受領証明書
-
還付金受取口座の通帳
-
個人番号(マイナンバー)確認書類
-
本人確認書類 ※マイナンバーカードを持っていない場合
確定申告では、源泉徴収票を参考にした年収や各種控除に加えて、ふるさと納税の寄付の年月日や寄付先、寄付金の金額などを記入していきます。
また、確定申告の際は、寄付先から送られてくる「寄附金受領証明書」が必要です。基本的には、寄付した自治体から郵送されるので、大切に保管しておきましょう。
もし期間内に確定申告ができなかった場合でも安心してください。5年以内であれば税務署に「還付申告」をすることで控除を受けられます。
ワンストップ特例制度を利用する場合
ワンストップ特例制度を利用する場合、翌年の1月10日(必着)までに必要書類を記入して、寄付した自治体に申請する必要があります。申請に必要な書類は次の通りです。
-
マイナンバーカード及び申請者本人を確認できる書類
-
寄附金税額控除に係る申告特例申請書
申請書には自分の住所や名前、マイナンバーに加えて、ふるさと納税の寄付金額や寄付年月日など基本的な項目を記入するだけ。確定申告と比較して必要な書類も少なく、手続きが簡単です。
4.翌年の住民税決定通知書で控除を受けられているか確認する
ふるさと納税の申請が終わっても、正しく処理されているかどうか気になるところです。毎年5~6月頃に勤務先から渡される「住民税決定通知書」の中で、確認しておきましょう。
ふるさと納税制度を利用する際の注意点
ふるさと納税をする際は、主に以下のような点に注意が必要です。
-
控除が行われるのは翌年以降
-
条件によっては確定申告が必要
以降で詳しく解説します。
控除が行われるれるのは翌年以降
ふるさと納税の控除が行われるのは、寄付を行った(ふるさと納税を行った)翌年になります。例えば、2024年中にふるさと納税を行った場合、控除が反映されるのは2025年に支払う住民税と2025年に申告する所得税からとなります。つまり、寄付をしたタイミングでは控除を受けられないのです。
ふるさと納税の効果が即座に現れないため、注意しましょう。控除を受けられるまでにタイムラグがあることを理解せずに、短期的な節税効果を期待してふるさと納税を行うと、期待外れに終わる可能性があります。
条件によっては確定申告が必要
ふるさと納税の控除を受けるためには、原則として確定申告が必要になります。ただし、一定の条件を満たす場合は、ワンストップ特例制度を利用することで、確定申告なしで控除を受けられます。
ワンストップ特例制度が利用できるケースは、以下の条件に当てはまる人です。
-
1年間にふるさと納税を行った自治体が5自治体以内
-
ふるさと納税以外に確定申告をする必要のない給与所得者
上記に当てはまらない人は、確定申告で税金控除の申告を行いましょう。
確定申告に慣れていない人などによっては、手続きが煩雑で時間がかかり、負担を感じるかもしれません。とはいえ、控除を受けるために必要な手続きが適切に行われないと、せっかくのふるさと納税のメリットを享受できなくなってしまいます。特に、給与所得者であれば、年間の寄付先を5自治体以内におさめれば、手続きの簡単なワンストップ特例制度を利用できるので、こうした制度の条件を考慮しつつ、ふるさと納税を行っていきましょう。
まとめ
この記事ではふるさと納税の仕組みやメリット・デメリット、具体的な手続きの方法について紹介しました。ふるさと納税は手続きが難しいイメージがあり、なかなか1歩を踏み出せない人も多いかもしれません。
また、申請を始めたものの途中でわからなくなってしまう場合もあります。しかし1度利用してしまえば、2回目以降は簡単に手続きを進められるもの。上手に利用すれば家計が楽になったり、地域の特産品を楽しめたりとメリットも多い制度です。
少しでも興味を持った人は、ぜひふるさと納税を活用してみてください。
ふるさと納税を行える上限額は、年収・家族構成等によって異なります。3ステップで寄付の限度額がわかる「かんたんシミュレーター」で上限額の目安をチェック!