不動産所得がある場合のふるさと納税の限度額はどうなる?計算方法・申請時の注意点を解説

不動産所得がある場合のふるさと納税の限度額はどうなる?計算方法・申請時の注意点を解説

自分の故郷などの自治体に寄付を通して貢献しつつ、さらに返礼品を貰えるとあって人気のふるさと納税。ふるさと納税を効率的に行うには、所得を把握することが重要です。なかでも、本業での給与収入以外に不動産所得がある方は、よりたくさん寄付をすることができます。この記事では、ふるさと納税と不動産所得の関係を、注意点などとともに解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

ふるさと納税を行える上限額は、年収・家族構成等によって異なります。3ステップで寄付の限度額がわかる「かんたんシミュレーター」で上限額の目安をチェック!

【不動産所得がある場合】ふるさと納税の「限度額」は上がる!

ふるさと納税を行う上で大切なのは、控除限度額を把握することです。とくに、給与収入以外に、不動産所得がある方は、この限度額が高くなるため、より多くの寄付を行うことができます。もちろん、寄付額が増えれば、それに応じて貰える返礼品の幅も広がります。

不動産所得があるとなぜ「控除限度額」が上がるのか

ふるさと納税は、自己負担額2,000円で寄付をした自治体より返礼品を貰えます。寄付した額は、自己負担金を除いた全額が、住民税と所得税から控除される仕組みです。

この控除には上限があり、それを「控除限度額」といいます。控除限度額は、ふるさと納税を行う本人の所得や家族構成によって変化します。所得は、給与収入だけでなく、不動産投資で得た不動産所得も合算して考えるため、不動産所得があればその分控除限度額が上がり、ふるさと納税で寄付できる金額が大きくなるのです。

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不動産所得がある場合の控除限度額の計算方法

では、不動産所得がある場合の控除限度額の計算方法を説明します。必要情報としては、給与収入と不動産所得を合算した年収と家族構成です。

給与の年収は、本来、ふるさと納税を行う年の年収額が必要ですが、12月にならないと確定しないため、計算する際は昨年の年収を目安にしましょう。年収は、源泉徴収票で確認できます。また、不動産所得は、不動産収入から必要経費を引いた額です。

給与の年収と不動産所得を合算したら、以下の表を参考に、控除限度額を確認しましょう。

ふるさと納税を行う人の給与収入ふるさと納税を行う人の家族構成
独身
又は
共働き
夫婦共働き+
高校生
1人
共働き+
大学生
1人
夫婦+
高校生
1人
共働き+
大学生と
高校生
夫婦+
大学生と
高校生
300万円28,00019,00019,00015,00011,0007,000
325万円31,00023,00023,00018,00014,00010,0003,000
350万円34,00026,00026,00022,00018,00013,0005,000
375万円38,00029,00029,00025,00021,00017,0008,000
400万円42,00033,00033,00029,00025,00021,00012,000
425万円45,00037,00037,00033,00029,00024,00016,000
450万円52,00041,00041,00037,00033,00028,00020,000
475万円56,00045,00045,00040,00036,00032,00024,000
500万円61,00049,00049,00044,00040,00036,00028,000
525万円65,00056,00056,00049,00044,00040,00031,000
550万円69,00060,00060,00057,00048,00044,00035,000
575万円73,00064,00064,00061,00056,00048,00039,000
600万円77,00069,00069,00066,00060,00057,00043,000
625万円81,00073,00073,00070,00064,00061,00048,000
650万円97,00077,00077,00074,00068,00065,00053,000
675万円102,00081,00081,00078,00073,00070,00062,000
700万円108,00086,00086,00083,00078,00075,00066,000
725万円113,000104,000104,00088,00082,00079,00071,000
750万円118,000109,000109,000106,00087,00084,00076,000
775万円124,000114,000114,000111,000105,00089,00080,000
800万円129,000120,000120,000116,000110,000107,00085,000
825万円135,000125,000125,000122,000116,000112,00090,000
850万円140,000131,000131,000127,000121,000118,000108,000
875万円146,000137,000136,000132,000126,000123,000114,000
900万円152,000143,000141,000138,000132,000128,000119,000
925万円159,000150,000148,000144,000138,000135,000125,000
950万円166,000157,000154,000150,000144,000141,000131,000
975万円173,000164,000160,000157,000151,000147,000138,000
1,000万円180,000171,000166,000163,000157,000153,000144,000
1,100万円218,000202,000194,000191,000185,000181,000172,000
1,200万円247,000247,000232,000229,000229,000219,000206,000
1,300万円326,000326,000261,000258,000261,000248,000248,000
1,400万円360,000360,000343,000339,000343,000277,000277,000
1,500万円395,000395,000377,000373,000377,000361,000361,000
1,600万円429,000429,000412,000408,000412,000396,000396,000
1,700万円463,000463,000446,000442,000446,000430,000430,000
1,800万円498,000498,000481,000477,000481,000465,000465,000
1,900万円533,000533,000516,000512,000516,000500,000500,000
2,000万円569,000569,000552,000548,000552,000536,000536,000
2,100万円604,000604,000587,000583,000587,000571,000571,000
2,200万円640,000640,000623,000619,000623,000607,000607,000
2,300万円773,000773,000754,000749,000754,000642,000642,000
2,400万円814,000814,000795,000790,000795,000776,000776,000
2,500万円855,000855,000835,000830,000835,000817,000817,000

引用:総務省 ふるさと納税ポータルサイト「ふるさと納税のしくみ」

なお、この表は社会保険料控除額を給与の15%と仮定して計算したものです、また、住宅ローン控除や医療費控除など、他の控除を受けていない場合を想定しています。

具体的に考えてみると、夫婦世帯で、給与収入400万円でさらに不動産所得が200万円あった場合は、給与収入だけの場合よりおよそ3万6,000円増えることになります。

ただし、不動産投資で利益が出た場合と赤字になった場合とでは、控除限度額も異なるため、以降で詳しく解説します。

また、控除限度額は、ふるラボの「かんたんシミュレーター」を使っても調べることができます。とはいえ、シミュレーターの結果はあくまで目安額となるため、正確な金額を確認したい場合は、お住まいの市区町村の住民税の担当部署や最寄りの税務署、税理士等にお問い合わせください。

不動産投資で所得(利益)がある場合

まずは、不動産投資で所得(利益)がある場合の控除限度額を考えてみましょう。先ほどの例を使用し、夫婦世帯で給与年収は400万円の場合と、給与収入のほかに不動産所得が200万円ある場合の控除限度額は。以下の通りです。

<給与収入400万円のみの場合>
控除限度額:3万3,000円

<給与収入400万円+不動産所得(利益)200万円がある場合>
控除限度額:6万9,000円
※早見表より

不動産投資による利益があれば、控除限度額が増えることがわかります。その分、返礼品の選択肢も増えるでしょう。

不動産投資で損失が出ている(赤字)の場合

次は、不動産投資で損失(赤字)が発生した場合です。こちらも夫婦世帯で給与収入400万円の場合と、給与収入に合わせ不動産投資による損失が100万円ある場合で考えてみます。

<給与収入400万円のみの場合>
控除限度額:3万3,000円

<給与収入400万円+(赤字の不動産所得-100万円)がある場合>
控除限度額:1万9,000円
※早見表より

上記より不動産投資にて損失が出た場合は、その分控除限度額が減ってしまうことになります。そのことを知らずに、給与収入だけ控除限度額を計算してふるさと納税を行うと、自己負担額が増えてしまうので注意が必要です。

ふるさと納税を行える上限額は、年収・家族構成等によって異なります。3ステップで寄付の限度額がわかる「かんたんシミュレーター」で上限額の目安をチェック!

不動産所得があるとふるさと納税のやり方は変わる?

不動産所得があれば、その分控除限度額が上がることはわかりました。では、不動産所得がある場合、ふるさと納税のやり方は変わるのでしょうか。実は、手順としては大きく変わることはありませんが、注意点があります。以下で、詳しく解説します。

20万円を超えるとワンストップ特例制度が使えなくなる

「ワンストップ特例制度」とは、確定申告をすることなくふるさと納税の寄付金控除が受けられる制度です。ワンストップ特例制度は、以下に該当する人が利用することができます。

  • もともと確定申告をする必要がない給与所得者

  • 寄付した自治体が5自治体以内

ただし、不動産所得が20万円を超える場合は、この制度を利用することができません。

不動産所得が20万円を超えると、所得税を申告する義務が発生するため、確定申告が必要になります。そのため、ふるさと納税の寄付金控除の申請においても、確定申告で一緒に申請しましょう。また、医療費控除や住宅ローン控除など、その他の控除を併用する場合も、確定申告で寄付金控除の申請を行う必要があるため、覚えておきましょう。

確定申告時に「不動産所得」の欄への記入が必要

不動産所得が20万円以上ある方は、確定申告時に申告書Bの「収入金額等」と「所得金額等」の「不動産」の欄に、不動産所得の金額を記入する必要があります。

これは、青色申告、白色申告ともに同じです。不動産所得が20万円以上ある方は、忘れないようにしましょう。また、ふるさと納税の寄付金控除については、「寄附金控除」の欄に、寄付した金額を記入すればOKです。

【不動産所得がある人向け】ふるさと納税のやり方

不動産所得がある方のふるさと納税のやり方、手順を注意点と併せて説明していきます。

1.控除限度額を調べる

まずは、前述した方法で、控除限度額を調べましょう。

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2.寄付をする自治体の選択

次に、控除限度額を超えないように注意しながら、寄付する自治体(返礼品)を選びます。控除限度額を超えてしまうと、その分の金額は自己負担となります。また、ワンストップ特例制度を利用する場合、寄付先は5自体以内にすることが条件です。いくつも無制限に返礼品を選んでしまわないよう、注意しましょう。

3.寄付金控除の申請

申請方法は、ワンストップ特例制度を利用するか、確定申告で申請するかの2択です。どちらで申請する場合も、寄付した自治体から送られてくる「寄附金受領証明書」が必要になります。失くさないように大切に保管しておきましょう。また、ワンストップ特例制度を利用する場合は、「寄附金受領証明書」のほかに、「寄附金税額控除に係る申告特例3.書(ワンストップ特例申請書)」も必要です。こちらの寄付した自治体から送られてきますので、失くさないようにしましょう。

ワンストップ特例制度は、申請書と本人確認書類を、翌年の1月10日までに寄付した自治体に送付すれば、申請完了です。確定申告の場合は、翌年の2月16日から3月15日が申告期限になるので、忘れずに申告しましょう。

4.正しくふるさと納税できたか(税金が控除されているか)確認

最後に、寄付金控除の申請が正しくされているかを確認します。ワンストップ特例制度を利用した場合は、寄付した翌年の住民税のみから控除されているはずです。確定申告の場合は、その年の所得税から還付、翌年の住民税から控除されています。

所得税が還付されているかどうかは、指定した口座に還付金が振り込まれたかどうかで確認できます。住民税は、翌年の5~6月頃に届く、「住民税決定通知書」の「摘要」という項目に、「寄附金税額控除額:○○円」と記載がありますので、寄付した合計金額から2,000円を引いた額になっていれば、問題なく控除されています。

不動産所得がある場合のふるさと納税の注意点

最後に、不動産所得がある方のふるさと納税での注意点を2つ説明します。どちらも面倒なことではないので、しっかり確認しておきましょう。

控除限度額を正確に算出しないと控除枠が余ってしまう可能性がある

控除限度額を調べる際は、必ず不動産所得を加味して計算しましょう。ここでしっかり調べないと、不動産所得分の控除限度額が余り、ふるさと納税のメリットが活かせないことになってしまいます。最大限お得に活用するには、できるだけ正確な金額を把握しましょう。

不動産所得が20万円以下の場合「確定申告した場合の課税額」と「控除額の増加分」を天秤にかける必要がある

不動産所得が20万円以下の場合、確定申告は不要ですが、申告をした方がよい場合があります。それは、確定申告した場合の課税額と控除限度額の増加分を確認し、控除限度額のほうが多いケースです。

逆に、確定申告した場合の課税額が多いと、ふるさと納税を行って控除を受けても、結局は課税額の方が上回ってしまうため、注意しましょう。

まとめ

今回の記事では、不動産所得がある方のふるさと納税のやり方や注意点を説明しました。給与収入だけでなく、不動産所得を加味すれば、さらに返礼品の選択肢も広がります。不動産所得があり、ふるさと納税に興味のある方は、ぜひ活用してみてください。

ふるラボ」では、返礼品や金額等から寄付先を選べるのはもちろん、各自治体の魅力をまとめた動画も発信しています。これからふるさと納税を始める方も、すでに始めている方も、ぜひ一度チェックしてみてください。

ふるさと納税を行える上限額は、年収・家族構成等によって異なります。3ステップで寄付の限度額がわかる「かんたんシミュレーター」で上限額の目安をチェック!