ふるさと納税の控除上限額とは?調べ方と損しないためのポイントを解説

ふるさと納税の控除上限額とは?調べ方と損しないためのポイントを解説

自治体に寄付をすることで返礼品がもらえ、さらには所得税や住民税から寄付金控除が受けられることで知られる「ふるさと納税」。しかし、寄付金控除が受けられる金額には、年収や家族構成によって上限が決まっていることを知っていますか?

そこで今回は、ふるさと納税の控除上限額にまつわる情報をご紹介。上限額の調べ方や損しないための活用手順も併せて解説するので、ぜひお役立てください。

ふるさと納税を行える上限額は、年収・家族構成等によって異なります。3ステップで寄付の限度額がわかる「かんたんシミュレーター」で上限額の目安をチェック!

ふるさと納税の控除上限額とは?

そもそもふるさと納税とは、自分の生まれ故郷やお世話になった街、応援したい自治体などに寄付ができる制度のことです。寄付した金額のうち、自己負担分2,000円を超える部分については、住民税・所得税から控除されるため、実質2,000円の寄付で控除が受けられるほか、自己負担分を上回る価値の返礼品がもらえることなどから、近年利用者が増えています。

ただし、ふるさと納税を自己負担2,000円だけで行える上限額は、年収・家族構成・住んでいる地域などによって異なります。上限額を超えてしまった分に関しては控除が適用されず、自己負担が増えてしまいうため、注意が必要です。

つまり、ふるさと納税の控除上限額とは、自己負担2,000円でふるさと納税を利用できる限度額であり、寄付金控除が受けられる上限額を指します。

先述した通り、ふるさと納税を利用すれば、納める税金の一部が控除されます。所得税に関しては、寄付を行った年の所得税から控除され、住民税は寄付を行った翌年の住民税から差し引かれる形で控除されます。

ちなみに、所得税が控除されるのは、確定申告を行った場合のみです。会社勤めの方などの確定申告が不要な方、あるいは年間のふるさと納税先の自治体数が5つ以内の方が活用できる「ワンストップ特例制度」を利用した場合は、所得税からの控除は行われず、住民税からの控除のみになるため、覚えておきましょう。

ふるさと納税の控除上限額の調べ方

正確な控除上限額を調べるためには、源泉徴収票が必要です。しかし、源泉徴収票が手元にない場合でも、上限額の目安を算出できる方法は存在します。

その方法も含め、ここからは控除上限額の調べ方について詳しくみていきましょう。

正確な控除上限額を知るためには「源泉徴収票」が必要

控除上限額を自分で計算したい場合は、下記の計算式を使って求めることができます。

【控除限度額=(住民税の所得割額×20%)÷(100%-住民税の税率10%-(所得税率×復興税率1.021)+自己負担額2,000円)】

また、自分で計算しなくても、各関連サイトの詳細なシミュレーション機能を使えば、手間なく控除上限額の目安を知ることができます。その際に必要となるのが、源泉徴収票に記載されている課税所得などの情報です。

給与収入額は、源泉徴収票の「支払金額」を参照してください。社会保険料は「社会保険料等の金額」、生命保険料や地震保険料などの控除額は、それぞれ「生命保険料の控除額」「地震保険料の控除額」「住宅借入金等特別控除の額」の欄を参照しましょう。これらの情報をシミュレーターに記入することで、控除上限額がわかります。

引用元:国税庁|「[手続名]給与所得の源泉徴収票(同合計表)」

また、控除上限額を算出するときに確認するのが、ふるさと納税を行う年の所得金額です。例えば、2023年にふるさと納税を行う場合は、2023年1月1日~12月31日までの年収が当てはまります。とはいえ、一般的にその年の源泉徴収票がもらえるのは12月です。それまでどうすればいいのかについては、この後詳しくご説明します。

源泉徴収票が手元にない場合は簡易シミュレーション機能を使おう

もし源泉徴収票が手元にない場合でも、自分の年収さえ把握していれば、ポータルサイトなどの簡易シミュレーション機能を使って簡単に調べることができます。

ここでは、ふるラボの「かんたんシミュレーター」を使って、実際に上限額を算出してみます。シミュレーション例は、以下の通りです。

  • 申請者:40代男性

  • 妻と子どもの3人暮らし

  • 子どもは高校生、妻は扶養に入っている

  • 年収600万円

ふるラボのかんたんシミュレーターは、たったの2ステップで完了します。必要な入力項目は、年収と家族構成だけです。

シミュレーション例に沿って、年収の欄は「600万円」を選択します。家族構成は、妻が扶養に入っている設定なので、「夫婦+子1人(高校生)」を選択しましょう。

結果は上の画像のように、すぐに算出されます。年収600万、夫婦+子1人(高校生)の寄付上限額は、6万円という結果になりました。

ただし、「かんたんシミュレーター」の結果はあくまで目安なので、正確な金額を確認したい場合は、先ほど紹介した方法か、市町区村の住民税担当部署や税務署、税理士などに問い合わせてみてください。

控除上限額より寄付金額が少ないと損してしまう?

控除上限額より少ない金額でふるさと納税を行った場合は、自己負担額2,000円は変わらずかかるため、特に問題はありません。仮に、控除上限額5万円に対して、3,000円のふるさと納税を行った場合でも、自己負担額2,000円を除いた1,000円は控除が受けられます。そのうえ返礼品も受け取れるので、控除上限より少ない額をふるさと納税で使う分には問題ないと言えるでしょう。

ただし、返礼品の観点から言えば、上限額いっぱいまで寄付したほうが、それだけ多くの返礼品(豪華な返礼品)が受け取れます。上限額を上回らない限り、自己負担額も変わらないので、上限額いっぱいまで寄付したほうが、効率が良いと言えるかもしれません。

控除上限額を超えてしまったら?

控除上限額を超えて寄付した場合、超えた分に関しては控除が適用されません。仮に、控除上限額3万円に対して5万円のふるさと納税を行った場合、控除上限額を上回った2万円分は控除が適用されないので、自己負担となります。つまり、上限額を超えた分だけ、自己負担額が増えてしまうということです。

慣れないうちは、控除限度額ギリギリよりも、気持ち少なめの額を寄付することをおすすめします。

ふるさと納税を行える上限額は、年収・家族構成等によって異なります。3ステップで寄付の限度額がわかる「かんたんシミュレーター」で上限額の目安をチェック!

ふるさと納税で損しないための活用手順

税控除が受けられたり、返礼品をもらえたりと、さまざまなメリットがあるふるさと納税ですが、制度の内容をしっかり理解していないと、逆に損する可能性も否めません。そうならないためにも、ふるさと納税は正しい手順で行うことが大切です。

<ふるさと納税の活用手順>

  • 去年の源泉徴収票をもとに控除上限額を調べる

  • 11月までに「1」で調べた金額の8割程度の寄付を済ませておく

  • 源泉徴収票を受け取り次第、正確な控除上限額を調べる

  • 12月中に上限額以内の寄付をする

  • ワンストップ特例制度/確定申告をして完了!

なかでも「5」に関しては、ワンストップ特例制度か確定申告をして寄付金控除の申請をしないと、所得税や住民税から控除されなくなってしまうため、忘れずに申請しましょう。

そこで、ここからはワンストップ特例制度についても触れながら、ふるさと納税の活用手順を詳しく解説します。

1.去年の源泉徴収票をもとに控除上限額を調べる

源泉徴収票をもとに控除上限額を調べるといっても、一般的にその年の源泉徴収票がもらえるのは12月です。とはいえ、年収が確定してから寄付をすると、年末ギリギリになってしまうため、まずは前年度の源泉徴収票をもとに、シミュレーション機能を使って控除上限額を調べることをおすすめします。

ただし、前年より収入が大幅に下がる可能性がある場合は要注意です。収入が減ると、その分控除上限額も低くなるため、一部控除されない可能性が生じます。その年の状況に合わせて年収の見込み額を計算し、「この金額までは確実に上限を超えない」という金額で算出しましょう。

ふるさと納税を行える上限額は、年収・家族構成等によって異なります。3ステップで寄付の限度額がわかる「かんたんシミュレーター」で上限額の目安をチェック!

2.11月までに「1」で調べた金額の8割程度の寄付を済ませておく

ふるさと納税は1年中いつでも受け付けているため、複数回に分けて申し込んでもOKです。ただし、自治体によっては、受付期間や返礼品の数に制限がある場合もあるので、注意してください。

前年度の源泉徴収票をもとに控除上限額を調べたら、11月までにその調べた金額の8割程度の寄付を済ませておきます。そうすることで12月に慌てて申し込みをする必要がなくなるほか、欲しい返礼品がなくなってしまったといった事態も防げるでしょう。

3.源泉徴収票を受け取り次第、正確な控除上限額を調べる

12月に源泉徴収票を受け取り、その年の年収が確定したら、再び正確な控除上限額を調べましょう。その年の年収は、源泉徴収票の「支払金額」を見ればわかります。

4.12月中に控除上限額以内の寄付をする

ふるさと納税の受付は、毎年1月1日~12月31日までです。正確な上限額がわかったら、残りの金額分を12月中に申し込みましょう。

ただし、ここで注意しておきたいのが、ふるさと納税の申し込みだけではなく、決済までを12月31日までに済ませなければならない点です。入金日は支払い方法ごとに異なり、その年の12月31日までに決済できなかった場合は、翌年分の寄付となってしまいます。そうなった場合、寄付金控除を受けられるのもその翌年になるので、注意しましょう。

また、12月はふるさと納税の申し込みが殺到し、受け入れを早めに終了する自治体も出てきます。そういった点からも、申し込みはなるべく早めに済ませるのがおすすめです。

5.ワンストップ特例制度/確定申告をして完了!

ここまでの手順を踏んだら、あとは所得税・住民税の控除のために、必要な書類を提出するだけです。この申請をしないと、所得税と住民税から控除されなくなりますので、忘れずに行うようにしましょう。

手続きの方法は、「ワンストップ特例制度」を利用するか、「確定申告」をするかの2種類です。「ワンストップ特例制度」とは、確定申告をしなくても寄付金控除が受けられる制度のことですが、利用できる人には2つの条件があります。一方で、確定申告でなければならない人にもいくつか条件があるので、以下表でご確認ください。

ワンストップ特例制度が使える人

確定申告をする必要がある人

確定申告が不要な人(給与所得者など)

ふるさと納税以外で確定申告が必要な人(給与所得以外に不動産や株取引などの収入ある人や個人事業主など)

年間のふるさと納税先の自治体数が5つ以内の人

年間のふるさと納税先の自治体数が
6つ以上の人

それでは、確定申告とワンストップ特例制度、それぞれどのような手順で手続きを進めていくのか、以下で詳しく解説していきます。

確定申告をする必要がある場合

まず、確定申告時に必要な書類を準備しましょう。必要書類は、以下の4つです。

  • 寄附金受領証明書

  • 対象期間の源泉徴収票

  • 還付金受取用口座番号

  • マイナンバーカード(通知カード+本人確認書類)

「寄附金受領証明書」は、寄付をした自治体から送られてくる証明書です。1年間に寄付した先から送られてくるすべての証明書が必要となるので、失くさないように気をつけましょう。

確定申告を作成するには、「手書きによる作成」か「確定申告書等作成コーナーでの作成」の2つの方法があります。なかでも、国税庁が提供している「確定申告書等作成コーナー」は便利です。初めて確定申告する人は、ページ内の「作成開始」ボタンをクリックしてください。

以下は、確定申告書等作成コーナーで作成する場合の主な記入項目です。なお、下記の項目は、収入が1カ所の事業者から受けた給与のみで、ふるさと納税(寄付金控除)だけを新たに申告する場合を想定しています。

<確定申告書作成コーナーの記入項目>

  • 申告される方の生年月日

  • 申告内容に関する質問

  • 源泉徴収票の入力(データで交付された源泉徴収票がある場合は不要)

    └支払金額、所得控除の額の合計額、源泉徴収税額、住宅借入金等特別控除の額、所得金額調整控除額、支払者の住所(居所)又は所在地又は法人番号、支払者の氏名又は名称

  • 寄附金控除、政党等寄附金等特別控除の入力(データで交付された証明書がある場合は不要)

    └寄附年月日、寄附金の種類、都道府県又は市区町村の「どちらに対する寄附か」、寄附先の所在地及び名称、支出した寄附金の金額

  • 住民税に関する事項

  • 還付金の受取方法

    └金融機関名、本支店名、預金種類、口座番号

  • 住所、氏名などの入力

  • マイナンバーの入力

また、上記の項目を入力する前に、税務署への提出方法や作成する申告書を選択する必要があります。提出方法の選択肢は、「マイナンバーカード方式(2次元バーコード)」「マイナンバーカード方式(ICカードリーダライタ)」「ID・パスワード方式」「印刷して提出」の4つです。「作成する申告書等の選択」では、「所得税」を選択してください。作成した申請書は「e-Taxでの送信」や「印刷して税務署へ提出」のどちらでもOKです。

ワンストップ特例制度を利用する場合

ワンストップ特例制度で必要な書類は、以下の2つです。

  • ワンストップ特例制度の申請用紙

  • マイナンバーカード(通知カード+本人確認書類)

ワンストップ特例制度の申請用紙は、寄付時に送付を申し込めば、寄付した自治体から後日送られてきます。届いた申請用紙に以下の必要事項を記入し、本人確認書類を添えて投函すれば手続き完了です。

<ワンストップ特例申請書の記入項目>

  • 提出日

  • 氏名、フリガナ

  • マイナンバー

  • 住所

  • 電話番号

  • 生年月日

  • 寄附年月日、寄附金額

  • 確定申告をしないことの確認にチェックマーク

  • 寄付先が5自治体以内である確認にチェックマーク

まとめ

今回は、ふるさと納税の控除上限額について説明してきました。今まで控除上限額の意味がいまいち理解できていなかった人も、何となくイメージを掴めたのではないでしょうか。とはいえ、初めてふるさと納税を利用する方にとっては、他にも知りたい情報がたくさんあることでしょう。加えて、どの自治体を応援すればよいか、迷っている方もいるはずです。

そんな方におすすめしたいのが、朝日放送テレビのふるさと納税サイト「ふるラボ」です。ふるさと納税初心者に向けて、わかりやすく、嬉しい情報を発信。放送局ならではの動画を活かしたコンテンツもあり、ふるさと納税への興味がより一層深まるのではないでしょうか。

また、無料の会員登録で利用できるマイページには、寄付額の履歴やお気に入りの返礼品の保存など、便利機能が満載です。かんたんシミュレーターで算出した上限額の結果もマイページに保存できるため、いつでもシミュレーション結果を確認できます。

ぜひ「ふるラボ」を活用して、ふるさと納税への第1歩を踏み出してみませんか?

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