ふるさと納税と他の寄付金控除は併用できる?控除上限額への影響や注意点を解説
ふるさと納税を活用して自治体への寄付を行っている人の中には、公益財団法人など、他団体への寄付を行っている人もいるのではないでしょうか。しかし、ふるさと納税とその他への寄付金は、どちらも寄付金控除の対象になるのか、寄付金控除は併用できるのかと疑問を抱いている人もいることでしょう。
そこでこの記事では、ふるさと納税とその他寄付金控除の違いや寄付金控除を併用する際の注意点などについて解説します。寄付金控除の併用について悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
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目次
寄付金控除とは?
寄付金控除とは、国や地方自治体などへ寄付した場合に受けられる控除です。
寄付金控除を受けられる対象は、国や地方公共団体、日本赤十字社、公益財団法人、学校法人、認定NPO法人など、特定の団体に対しての寄付をした納税者に限ります。また、寄付金控除を受けるためには、確定申告が必要です。
寄付金控除と寄付金特別控除の2種類がある
寄付金控除には、寄付先によって、「寄付金控除」と「寄付金特別控除」のどちらかの控除を選ぶことができます。
寄付金特別控除を選べるのは、政党等への寄付(政党等寄附金特別控除)、認定NPO法人への寄付(認定NPO法人等寄附金特別控除)、公益社団法人への寄付(公益社団法人等寄附金特別控除)の3つです。
また、寄付金控除は、医療費控除生命保険料控除と同じく、所得金額から一定額を差し引くことができる「所得控除」にあたります。一方で、寄付金特別控除は、所得控除を引いたあとの税額から差し引くことができる「税額控除」になります。算出方法が異なるため、注意しましょう。
寄付金控除 | 寄付金特別控除 | |
特徴 | 所得控除 | 税額控除 |
例 | 国または地方公共団体などへ、寄付をした場合 | 特定寄付金の中でも、公益社団法人等、政党等、認定NPO法人等へ寄付をした場合 |
ふるさと納税とその他寄付金控除の併用は可能
ふるさと納税以外にも特定の団体に寄付をしている場合、ふるさと納税と併用して寄付金控除を受けられるのかどうか、不安を感じている方もいることでしょう。しかし、ふるさと納税とその他の寄付金控除の併用は可能です。
地方自治体に寄付を行うふるさと納税は、寄付金控除の対象となり、寄付した金額は特定寄付金の一部とみなされるため、他の寄付金と併用しても控除を受けることができるのです。ただし、寄付金控除は、その年の総所得金額の40%が上限となります。
ふるさと納税とその他寄付金控除との違い
ふるさと納税の寄付先は、自身の故郷や応援したい自治体を選び、寄付することができます。一方、ふるさと納税以外の寄付先は、地方自治体を含めた特定寄付金に指定された寄付先が対象になります。
特定寄付金は寄付先によっては寄付金控除か寄付金特別控除のどちらかを選べるものがありますので、自身が寄付した寄付先が、どの控除を受けられるか確認してみましょう。
ふるさと納税は、所得税の控除に加え、個人住民税からも控除があります。その他の寄付金控除は、住所地の共同募金および日本赤十字社支部に対する寄付金を除き、都道府県や市区町村が条例で指定しない限り、個人住民税の控除は受けられません。
ふるさと納税は、確定申告によって寄付金控除の申請を行えば、所得税と住民税の双方から控除が受けられるため、その他の寄付金控除よりも控除額が大きくなりやすい傾向です。
控除限度額の違い
寄付金控除は、その年の総所得金額の40%相当額を上限としていますが、寄付金控除の中でも所得控除と税額控除とでは違いがあります。
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寄付金控除額(所得控除)
その年中に支出した特定寄付金の額の合計額-2,000円
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寄付金特別控除額(税額控除)
<政党等寄附金特別控除>
(その年中に支出した政党等に対する寄付金の額の合計額-2,000円)×30%
ただし、その年の所得税額の25%相当額が限度です。
<認定NPO法人等寄附金特別控除額>
(その年中に支出した認定NPO法人等に対する寄付金の額の合計額-2,000円)×40%
ただし、公益社団法人等寄附金特別控除額との合計額はその年分の所得税額の25%相当額が限度です。
<公益社団法人等寄附金特別控除額>
(その年中に支出した公益社団法人等に対する寄付金の額の合計額-2,000円)×40%
ただし、認定NPO法人等寄附金特別控除額との合計額はその年分の所得税額の25%相当額が限度です。
いずれも、特定寄付金の額の合計は、所得金額の40%相当額が上限です。
ふるさと納税は、所得税と住民税のどちらからも控除があり、寄付をした全額から2,000円を除いた額が全額控除されます。
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所得税からの控除=(ふるさと納税額-2,000円)×所得税率
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個人住民税(基本分)=(ふるさと納税額-2,000円)×10%
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個人住民税(特例分)=(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-基本分10%-所得税率)
ただし、個人住民税の特例分は所得割額の20%が限度です。
控除対象(住民税・所得税)の違い
ふるさと納税とその他寄付金控除では、控除の対象にも違いがあります。寄付金控除は、住所地の共同募金および日本赤十字社支部に対する寄付金を除いて、都道府県や市区町村が条例で指定しないと個人住民税の控除は受けられません。しかし、ふるさと納税は、個人住民税と所得税のどちらも控除の対象となります。
その他寄付金控除はふるさと納税の「上限額」に影響はある?
ふるさと納税の住民税からの控除(特例分)において、住民税所得割額の2割を超えてしまう場合の特例分の計算は、「住民税所得割額×20%」となり、全額控除にはなりません。
しかし、住民税所得割額は、前年の所得額を基準とした「所得金額-所得控除額」で算出され、税額控除前の金額となります。そのため、ふるさと納税の控除額上限額が変化することはありません。ただし、寄付金控除の上限である「総所得の40%」を超えないことが条件となるので、覚えておきましょう。
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ふるさと納税とその他寄付金控除を併用する場合「確定申告」が必須
ふるさと納税とその他の寄付金控除を併用する場合、確定申告を行わなければ控除を受けることができません。普段、確定申告を行わない会社員などにとっては手間ではありますが、確定申告を行うことで控除を受けられるため、期限内に申告するようにしましょう。
また、寄付がふるさと納税のみの場合は、確定申告のほか、ワンストップ特例制度を利用して控除申請をすることも可能です。
ふるさと納税とその他寄付金控除の確定申告のやり方
ふるさと納税とその他の寄付を行った場合、確定申告をすることで寄付金控除を受けることができます。また、ふるさと納税のみで寄付をした場合でも、6つ以上の自治体へ寄付を行っている場合はワンストップ特例制度が使えないため、確定申告をして寄付金控除を受けましょう。
確定申告のやり方は、ふるさと納税もその他寄付金控除でも、申告書とともに受領書や証明書が必要です。
<確定申告書類以外に必要なもの>
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ふるさと納税
寄附金受領証明書(ふるさと納税をした自治体すべて)
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その他寄付金控除
- ●寄附金受領証明書
- ●政治活動に関する寄付金については「寄付金(税額)控除のための書類」。ただし、間に合わない場合は寄付金の受領証の写し
- ●一定の特定公益増進法人などに対する寄付をした場合は、証明書の写しや認定書の写し
ふるさと納税をしたり、特定寄付金に指定された団体に寄付をしたりすると、受領書や証明書が送られてきます。確定申告する際は、申告書とともに添付または提出する必要があるため、必ず保管しておきましょう。ふるさと納税をいくつかの自治体で利用した場合は、すべての受領書が必要になります。なくさずに管理しておいてください。
まとめ
この記事では、ふるさと納税とその他寄付金控除が併用できるかについて解説しました。ふるさと納税もその他寄付金控除も、寄付をして控除が受けられるという点では同じです。また、併用しても寄付金控除は受けることができ、その他寄付金控除によるふるさと納税の控除上限額には影響しません。ただし、寄付金控除は「総所得の40%」が上限であること、ワンストップ特例制度は使わずに確定申告をする必要があることに注意してください。
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