ふるさと納税と医療費控除は併用可能!確定申告のやり方と注意点を解説
ふるさと納税と医療費控除は、どちらも税金が控除される制度です。しかし、2つの控除を併用できるのか、疑問に感じた人もいるのではないでしょうか。結論としては、ふるさと納税と医療費控除は併用可能です。ただし、併用するには細かい注意点が存在し、場合によっては失敗してしまうことも……。そこでこの記事では、ふるさと納税と医療費控除を併用する方法や注意点について詳しく解説していきます。

ふるさと納税と医療費控除は併用できる?それぞれの仕組み
医療費控除とふるさと納税は併用が可能であり、両方の制度を活用することで所得税と住民税の控除を受けられるメリットがあります。併用してもどちらかの制度が無効になることはなく、それぞれの計算に基づいて控除が適用されるため、安心して活用できます。
ただし、2つの制度は控除の仕組みが異なるため、それぞれの特徴を正しく理解しておくことが重要です。
ふるさと納税とは:寄付で税額控除と返礼品がもらえる
ふるさと納税は、応援したい自治体に寄付をすることで、寄付額のうち2,000円を超える部分が所得税・住民税から控除される制度です。実質2,000円の負担で地域の特産品などの返礼品を受け取れる点が大きな特徴となっています。
控除の仕組みとしては、税額から直接差し引かれる「税額控除」がメインです。ただし、所得税については一部「所得控除」として計算され、還付金として戻ってきます。住民税については翌年度の納付額から控除される形になります。
寄付できる金額には年収や家族構成などによって「控除限度額」が設定されており、この限度額を超えた分は純粋な自己負担となる点に注意が必要です。
あわせて読みたい
医療費控除とは:年間10万円超の医療費負担を軽減する
医療費控除は、1年間(1月1日~12月31日)に自己負担した医療費が一定額(通常10万円)を超えた場合に受けられる「所得控除」です。申告者本人だけでなく、生計を一にする配偶者や親族の医療費も合算できるため、家族全体の医療費が対象となります。
総所得金額等が200万円未満の場合は、10万円ではなく「総所得金額等の5%」が基準額となります。たとえば総所得金額等が150万円の場合、7万5,000円を超えた医療費が控除の対象です。
医療費控除には「通常の医療費控除」と「セルフメディケーション税制」の2種類があり、同時には利用できません。セルフメディケーション税制は、特定の市販薬(スイッチOTC医薬品)を年間12,000円以上購入しかつ、一定の健康診断などを行っている場合に利用できる特例制度で、限度は88,000円です。どちらか有利な方を選択して申告します。
医療費控除は「所得控除」であるため、課税所得そのものを減らす効果があります。この点が、後述するふるさと納税の限度額に影響を与える重要なポイントとなります。
ふるさと納税と医療費控除を併用する際の注意点
ふるさと納税と医療費控除を併用する上で、気をつけなければいけないポイントが2点あります。それは「ワンストップ制度との併用は不可能」である点と、「ふるさと納税の限度額が変わる」ことです。もし併用の手続きに失敗すると、場合によっては損をしてしまうこともあるため、ポイントを押さえておきましょう。
ふるさと納税を行える上限額は、年収・家族構成等によって異なります。3ステップで寄付の限度額がわかる「かんたんシミュレーター」で上限額の目安をチェック!

ワンストップ特例制度は無効!確定申告が必須になる
医療費控除を受けるためには確定申告が必須であり、確定申告を行うと以前に申請したワンストップ特例制度が無効になります。この点は非常に重要な注意点です。
ワンストップ特例制度は、確定申告が不要な給与所得者などが、5自治体以内への寄付であれば簡易的な書類提出のみで控除を受けられる便利な制度です。しかし、医療費控除は確定申告でしか申請できないため、医療費控除を申告する時点で確定申告が必須になります。
ワンストップ特例の申請書を提出済みであっても、確定申告書には「ふるさと納税(寄附金控除)」と「医療費控除」の両方を記載しなければなりません。医療費控除だけを記載して、ふるさと納税の記載を忘れてしまうと、せっかく寄付をしたのに控除が受けられなくなってしまいます。
ワンストップ特例制度で手続きが完了したと思い込んでいると、このようなミスにつながりやすいため注意しましょう。
医療費控除によりふるさと納税の控除限度額が減る
医療費控除は「所得控除」であり課税所得を減らすため、課税所得を基に算出される「ふるさと納税の控除限度額」も連動して下がります。これは両制度を併用する上で最も気をつけるべきポイントです。
ふるさと納税の控除限度額は、住民税の所得割額をもとに計算されます。医療費控除によって課税所得が減少すると、住民税の所得割額も減少するため、結果としてふるさと納税の控除限度額も下がってしまうのです。
限度額を超えて寄付をしてしまった場合、超過分は純粋な自己負担となります。たとえば、医療費控除を考慮せずに計算した限度額が5万円だったとしても、医療費控除を適用すると実際の限度額は4万8,000円程度に下がる可能性があります。この場合、5万円を寄付してしまうと自己負担の分が生じてしまいます。
医療費控除の額が大きいほど、ふるさと納税の限度額への影響も大きくなる関係性があるため、高額な医療費がかかった年は特に注意が必要です。
ふるさと納税を行える上限額は、年収・家族構成等によって異なります。3ステップで寄付の限度額がわかる「かんたんシミュレーター」で上限額の目安をチェック!

ふるさと納税と医療費控除を併用した際の失敗例
実際に、ふるさと納税と医療費控除を併用しようとして失敗してしまった例を2つご紹介しましょう。
ワンストップ特例制度と確定申告で寄付金控除と医療費控除を併用した例
ふるさと納税のワンストップ特例制度を申請した後、年末に1年間の医療費が10万円を超えることが判明したため、確定申告で医療費控除を申請する場合があります。ワンストップ特例制度の申請後に確定申告を行った場合には、ワンストップ特例制度の申請が無かったことになります。そのため、自治体へ寄付金を支払っているにも関わらず、税額控除が適用されません。
すでに確定申告を行ってしまった場合には、申告期限である3月15日までであれば、寄付金控除を新たに追記した確定申告書を作成し、再提出することで対処できます。
もし再提出が3月16日以降になる場合には、「更正の請求書」を作成し、税務署へ提出することが必要です。更正の請求は、申告期限から5年経過するまでの期間で請求できるため、気づいた段階で早めに手続きを行うようにしましょう。
医療費控除を加味せず、ふるさと納税をした例
もっとも注意しなければならないのは、医療費控除を加味していない控除限度額をもとに、ふるさと納税を行った場合です。
例えば、当初の控除限度額が4万2,000円と計算された場合、本来であれば自己負担2,000円を除いた4万円分の税額控除と返礼品を受け取ることができます。しかし、医療費控除の申請により課税所得額が減り、実際の控除限度額が4万円になった場合、受けられる税額控除は3万8,000円分になります。すでに4万2,000円を寄付しているため、超えた部分のいくらかが自己負担額となり、本来よりも多い金額を自己負担することになってしまいます。
すでに寄付の手続きが完了している場合、寄付をキャンセルすることはできません。医療費控除による控除限度額の変化を事前に計算したり、控除限度額に少し満たない金額までの寄付に留めておいたりなどの考慮が大切です。
ふるさと納税で人気のおいしいお米を紹介

ふるさと納税でお米を選ぶなら、味・銘柄・量の違いも気になりますよね。
実は専門家が厳選した“失敗しないお米”があるんです。
特Aランクや定期便など人気の銘柄をまとめて紹介していますので、
自分にぴったりのお米を探したい方はぜひご覧ください。
医療費控除がある場合のふるさと納税限度額の計算方法
併用する場合は、通常のシミュレーション結果よりも限度額が下がることを前提に、事前の再計算や詳細シミュレーションが重要です。多くのふるさと納税ポータルサイトには「かんたんシミュレーション」と「詳細シミュレーション」の2種類が用意されていますが、医療費控除を併用する場合は必ず「詳細シミュレーション」を使うようにしましょう。
なお、正確な限度額を把握するための計算ステップは次の通りです。
-
1年間の医療費控除額を算出する
-
ふるさと納税の限度額への影響を確認する
ステップ1:1年間の医療費控除額を算出する
まずは、医療費控除額を算出します。具体的には以下のように計算します。
医療費控除額=年間の医療費合計額-保険金などで補填された金額-10万円(総所得金額が200万円未満の場合は総所得金額等の5%)
たとえば、1年間に支払った医療費が30万円、保険金で補填された金額が5万円、総所得金額等が400万円の場合は次のようになります。
この場合、医療費控除額は15万円です。
セルフメディケーション税制を利用する場合の計算式は「購入額-12,000円(限度88,000円)」となります。どちらか有利な方を選んで申告しましょう。
ステップ2:ふるさと納税の限度額への影響を確認する
目安として、医療費控除額の約2%程度、ふるさと納税の限度額が減少します。医療費控除が10万円であれば、ふるさと納税の控除限度額は約2,000円下がる計算です。ただし、この割合は所得税率や住民税の状況によって変動するため、あくまで目安として考えてください。
年収別の試算例を見てみましょう。以下は医療費控除額によってどのくらいふるさと納税の限度が変わるかを示した表です。
【世帯・年収別】ふるさと納税の限度額目安
| 年収 | 独身(または共働き夫婦)、子なし | 共働き夫婦、子1人(高校生) | 夫婦、子1人(高校生) |
| 300万円 | ふるさと納税のみ:28,000円 医療費控除20万円:約24,000円 | ふるさと納税のみ:19,000円 医療費控除20万円:約15,000円 | ふるさと納税のみ:11,000円 医療費控除20万円:約8,000円 |
| 400万円 | ふるさと納税のみ:42,000円 医療費控除20万円:約38,000円 | ふるさと納税のみ:33,000円 医療費控除20万円:約29,000円 | ふるさと納税のみ:25,000円 医療費控除20万円:約21,000円 |
| 500万円 | ふるさと納税のみ:61,000円 医療費控除20万円:約56,000円 | ふるさと納税のみ:49,000円 医療費控除20万円:約44,000円 | ふるさと納税のみ:40,000円 医療費控除20万円:約37,000円 |
| 600万円 | ふるさと納税のみ:77,000円 医療費控除20万円:約72,000円 | ふるさと納税のみ:69,000円 医療費控除20万円:約64,000円 | ふるさと納税のみ:60,000円 医療費控除20万円:約55,000円 |
詳細な金額を知りたい場合は、ポータルサイトの「詳細シミュレーション」を活用しましょう。また、不明な点があれば、居住地の市区町村の税務担当窓口や税理士に相談することもおすすめです。
医療費控除とふるさと納税を併用する確定申告のやり方
医療費控除とふるさと納税を併用する場合の具体的な確定申告の手順は、次の通りです。
-
必要書類を準備する
-
国税庁「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、「作成開始」を選択する
-
画面の案内に従い、源泉徴収票の内容を入力する
-
「医療費控除」の欄を選択し、医療費の明細書の内容を入力する
-
「寄附金控除」の欄を選択し、寄附先の自治体名や寄付金額、寄付した日を入力する
-
入力内容を確認し、申告書データを送信(e-Tax)または印刷して税務署へ郵送・持参する
-
後日、指定口座に還付金が振り込まれたか確認する
スマホやPC(e-Tax)を使えば、自宅からでも簡単に手続きができます。マイナンバーカードがあれば、税務署に行かずに全ての手続きを完結させることが可能です。
ふるさと納税を行える上限額は、年収・家族構成等によって異なります。3ステップで寄付の限度額がわかる「かんたんシミュレーター」で上限額の目安をチェック!

申告に必要な書類と準備するもの
寄付金控除や医療費控除を受ける場合に必要な書類を、以下にまとめてみました。確定申告をする前に手元にあるか確認しておきましょう。
ふるさと納税の寄付金控除に必要な書類
-
寄附金受領証明書
自治体から送付されてくる寄付金の受領証明書です。返礼品とは別に送付されます。紛失すると再発行が難しいため、送付されてきた際には大切に保管しましょう。
-
源泉徴収票
ご自身の総所得や納めた所得税の額が記載された書類です。給与所得者であれば、毎年12月頃の年末調整の際に勤務している会社から受け取れます。
-
還付金受取用の銀行口座番号
確定申告を申請した後、所得税の還付金は指定した銀行口座に振り込まれます。受け取る銀行口座の通帳のコピーなど、口座番号がわかるものを用意しましょう。申請者自身の名義であることが必要です。
-
本人確認書類(マイナンバーカード、またはマイナンバー通知カード+身元確認書類)
マイナンバーカードをもっていれば、カード両面のコピーがあれば大丈夫です。マイナンバー通知カードのみ、またはマイナンバーが記載された住民票のみしかもっていない場合には、追加で身元確認書類が必要です。身元確認書類には、運転免許証、パスポートなどが利用できます。
医療費控除に必要な書類
-
源泉徴収票
ご自身の総所得や納めた所得税の額が記載された書類です。
-
医療費通知
会社勤めの人の場合、全国健康保険協会から送付されてくる「医療費のお知らせ」のことです。1年間の医療費の合計額が記載されているため、医療費控除の明細書の記入を簡略化できます。一般的には1月下旬~2月上旬に勤務先から受け取れます。
-
医療費や交通費の領収書
支払った医療費や交通費に関する領収書やレシートのことです。医療費控除の明細書を記入する上で参考になるため、こまめに整理しておきましょう。平成29年以降は、税務署へ提出する義務はなくなりましたが、確定申告から5年間は保管しておく必要があります。
-
医療費控除の明細書
1年間に支払った医療費や保険により補填された金額の明細を記載したリストです。医療費通知や医療費の領収書をもとに申請者が作成します。書類は、税務署に直接もらいに行くか、国税庁のホームページからダウンロードできます。明細書には、領収書1枚ごとではなく、医療機関・支払先ごとに合算した金額を記入します。
確定申告書の書き方(寄附金控除・医療費控除)
用意した書類をもとに、確定申告書を記入していきます。確定申告書は、国税庁のホームページからダウンロードできるほか、税務署や各市区町村の窓口などで受け取ることができます。
確定申告書には、第一表と第二表の2枚があり、第一表で記入した金額の詳細を第二表に記入するイメージです。一見、複雑なように見えますが、一つ一つの項目を丁寧に埋めていけば、意外と簡単に書くことができます。
まずは、源泉徴収票を参考に、「収入金額等」「所得金額等」「所得から差し引かれる金額」の項目を記入してみましょう。
寄付金控除に必要な記入項目
寄付金控除を受ける場合には、第一表の「所得から差し引かれる金額」の項目にある「寄附金控除」の欄、第二表にある「寄附金控除に関する事項」及び住民税欄にある「都道府県、市区町村への寄附(特例控除対象)」の3箇所を記入します。各自治体から送付されている寄附金受領証明書をもとに、寄付先や寄付金の合計額を記入しましょう。
<第一表の記入箇所>

<第二表の記入箇所>

引用:国税庁「確定申告書等の様式・手引き等(令和7年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)」(申告書第一表・第二表【令和7年分用】)
医療費控除に必要な記入項目
医療費控除を受ける場合には、第一表の「所得から差し引かれる金額」の項目にある「医療費控除」の欄を記入します。医療費控除の明細書を参考に、1年間に支払った医療費の合計額を記入しましょう。また、確定申告書を提出する際には、医療費控除の明細書を添付することが必要です。
<第一表の記入箇所>

引用:国税庁「確定申告書等の様式・手引き等(令和7年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)」(申告書第一表・第二表【令和7年分用】)
<医療費控除の明細書のイメージ>

引用:国税庁「申告書・申告書付表と税額計算書等 一覧(申告所得税)」
スマホやe-Taxを使った確定申告書の作成手順
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用し、スマホやPCから申告書を作成する手順を説明します。
-
ブラウザで「確定申告書等作成コーナー」を検索して開き、「作成開始」を選択する
-
画面の案内に従い、源泉徴収票の支払金額や源泉徴収税額などの必要情報を入力する
-
控除の入力画面で「医療費控除」を選択し、医療費の明細書や通知書の内容を入力する
-
「寄附金控除」を選択し、「証明書等の内容を入力する」ボタンからふるさと納税の寄付先や金額を入力する
-
入力内容と計算結果(還付金額など)を確認し、e-Taxで送信するか、書類を印刷して税務署へ郵送する
画面の案内に従い、「寄附金控除」と「医療費控除」の両方の欄に入力する必要があります。どちらか一方だけを入力して送信してしまうと、控除が適用されないため注意しましょう。
マイナンバーカードとスマホがあれば、カードリーダーを用意しなくてもスマホでマイナンバーカードを読み取ることができ、送信まで完了できます。税務署に行く必要がなく、自宅から24時間いつでも申告できる利便性があります。
確定申告の提出期限と還付申告の時期
通常の確定申告期間は例年2月16日~3月15日です(土日の関係で日付が前後する年もあります)。この期間中に申告書を提出しましょう。
ただし、給与所得者が医療費控除とふるさと納税のみを申告する場合は「還付申告」となり、1月から申告可能です。さらに、還付申告は5年間遡って申告できるため、過去に申告し忘れた年の分も申請できます。
期限ギリギリになると税務署窓口が混雑するため、早めのe-Tax申請がおすすめです。特に2月前半や1月中に申告を済ませておけば、還付金の振込も早くなる傾向があります。
まとめ
この記事では、ふるさと納税と医療費控除を併用して税負担を軽減する方法を紹介しました。併用する場合には、ワンストップ特例制度が使用できない点や、医療費控除によりふるさと納税の控除限度額が変わる点などに注意が必要です。特に、控除限度額が変わると、ふるさと納税の自己負担額が増えてしまうため、事前に必ず再計算しておきましょう。
また、ふるさと納税と医療費控除を併用する場合、確定申告を行うことが必要です。一見複雑そうな確定申告ですが、落ち着いて一つ一つ記入していけば簡単に作成できます。毎年の税負担を少しでも軽減させるためにも、確定申告を利用してふるさと納税と医療費控除を併用してみてはいかがでしょうか。
朝日放送テレビ(ABC)の「ふるラボ」は、豊富な映像コンテンツ・コラムをご用意する、ふるさと納税サイトです。初心者の方にも分かりやすいサービスを展開していますので、ぜひ「ふるラボ」で素敵な返礼品や自治体を見つけてください。


