【自営業向け】ふるさと納税の控除上限額の調べ方!自営業ならではの注意点も解説

【自営業向け】ふるさと納税の控除上限額の調べ方!自営業ならではの注意点も解説

ふるさと納税は、応援したい地域に寄付を行うことで、税金の控除を受けつつ返礼品を受け取ることができる制度です。しかし、自営業の方は、いくらまで寄付を行うことができるのか、自分で計算する必要があるため、難しく捉える方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、自営業の方がふるさと納税で得られるメリットや注意点、税金の控除上限額などを解説します。自営業の方は、ぜひ参考にしてみてください。

ふるさと納税を行える上限額は、年収・家族構成等によって異なります。3ステップで寄付の限度額がわかる「かんたんシミュレーター」で上限額の目安をチェック!

自営業のふるさと納税の控除上限額はいくらになる?

ふるさと納税は、自己負担金2,000円で、所得税と住民税の控除を受けつつ、さまざまな返礼品を受け取ることができる制度です。ただし、控除される税額には上限があります。それが「控除上限額」です。

つまり、控除上限額を超える額の寄付を行えば、自己負担額が増えてしまうことになります。まずは、上限額を把握するために、計算方法などを解説してきます。

自営業の控除上限額の計算方法

自営業の控除上限額は、以下の計算式で算出することができます。

控除上限額=(①住民税所得割額×②課税所得に応じた変数)+自己負担金2,000円

①「住民税所得割額」の確認方法
「住民税所得割額」とは、所得金額に比例して課税される住民税額です。「課税証明書」や「住民税決定通知書」で確認できますが、「課税所得金額×10%」で計算することもできます。「住民税決定通知書」は、例年5~6月ごろに、お住まいの市区町村から届くので、覚えておきましょう。

②「課税所得に応じた変数」の確認方法
課税所得に応じた変数は、以下の表を参考にしてください。

課税所得金額

課税所得に応じた変数

~195万円以下

23.559%

195万円超~330万円以下

25.066%

330万円超~695万円以下

28.744%

695万円超~900万円以下

30.068%

900万円超~1,800万円以下

35.520%

1,800万円超~4,000万円以下

40.683%

4,000万円超

45.398%

それでは、上記の計算式を使用して、「控除上限額」を計算していきます。課税所得が195万円で、住民税所得割額が20万円のケースで見てきましょう。

控除上限額=(①20万円×②23.559%)+2,000円=4万9,118円

控除上限額は、4万9,118円になることがわかりました。しかし、この金額はあくまで目安になります。また、所得割額は昨年の所得により変動するため、変動が大きくある場合は特に要注意です。

控除上限額の目安は「住民税所得割額の2割」でわかる

次に、簡単に「控除上限額」の目安を知る方法を紹介します。「控除上限額」は、住民税の所得割額の2割が目安といわれています。そのため、先述の例と同じく、所得割額が20万円のケースでは、「20万円×20%=4万円」となり、目安額が同じくらいの金額になることがわかります。ただし、ここで計算した控除上限額も、あくまで目安となるので、覚えておきましょう。

目安の上限額を知った上で、ふるさと納税を行う際のコツとしては、11月までに控除上限額の8割程度の金額であらかじめ寄付を行うことです。その上で、所得が確定する12月に再度控除上限額の計算を行い、残りの金額分の寄付すするようにしましょう。そうすれば、ふるさと納税の控除上限額を最大限うまく活用することができます。

ふるさと納税を行える上限額は、年収・家族構成等によって異なります。3ステップで寄付の限度額がわかる「かんたんシミュレーター」で上限額の目安をチェック!

正確な控除額を調べるなら青色申告・白色申告の控除額に応じて「課税所得」を再計算しておこう

控除上限額は、今年の課税所得に応じて変化します。自営業の方の確定申告には、「白色申告」と「青色申告」がありますが、白色申告には特別控除がなく、青色申告の複式簿記では65万円、簡易簿記では10万円の特別控除を受けることができ、収入から差し引くことができます。

つまり、今年度の確定申告を青色申告で行う場合は、課税所得より特別控除を引いた額で計算することで、正確な控除上限額を算出することができます。

また、控除上限額を確認する際は、ふるさと納税サイトなどにある「控除上限額シミュレーション」を使用すると、簡単に上限額がわかるのでおすすめです。ふるラボサイトでは、「かんたんシミュレーター」として公開しているので、ぜひ活用してみてください。ただし、こうしたシミュレーターは、給与所得者向けになっていることがほとんどです。自営業の方は、確定申告方法に応じた控除額を加味した額を入力しましょう。

自営業の方がふるさと納税をするメリット

自営業の方が、ふるさと納税を行うメリットには、どんなものがあるのでしょうか。主に、以下のようなメリットが挙げられます。

  • 返礼品を貰いながら納税ができる

  • 控除上限額が会社員(給与所得者)と比べて大きくなる

  • 確定申告に慣れているため控除申請がスムーズ

もっとも大きなメリットとしては、「控除上限額が会社員(給与所得者)と比べて大きくなる」が挙げられるので、以降で詳しく確認していきましょう。

返礼品を貰いながら納税ができる

よく知られているふるさと納税のメリットに、「返礼品を貰いながら納税ができる」点があります。本来、翌年に納税するはずの税金で、自治体に寄付を行い、返礼品まで受け取ることができるため、大変魅力的な制度です。

返礼品には、食品のほか、日用品、工芸品、旅行やイベントなどのアクティビティなど、さまざまなものがあります。以下では、ふるラボサイトで特に人気の返礼品を3点、紹介します。<2022年10月時点>

【人気1位】〈新米〉20kg 令和4年産さがみのり (5kg×4袋)/佐賀県 上峰町/寄付金額1万円
【人気2位】鉄板焼ハンバーグ デミソース 20個/福岡県 飯塚市/寄付金額1万円
【人気3位】オホーツク産ホタテ玉冷大(1kg)/北海道 紋別市/寄付金額1万4,000円

控除上限額が会社員(給与所得者)と比べて大きくなる

自営業の方がふるさと納税を行う一番のメリットは、「給与所得者に比べ、控除上限額が大きくなること」です。自営業の方は、給与所得控除がなく、課税所得が増えるためです。例えば、所得額が400万円の場合の給与所得者と自営業の方の課税所得の違いをみていきましょう。

【給与所得者の場合】
〈給与所得控除〉
 所得400万円×20%+44万円=124万円
〈課税所得〉
 所得400万円-124万円=276万円

【自営業の場合】
〈確定申告〉
 青色申告で実施:特別控除65万円
〈課税所得〉
 所得400万円-65万円=335万円

このように、同じ所得額でも、課税所得に約60万円の差が発生します。課税所得が多くなれば、住民税所得割額も増えるので、控除上限額も増えるというわけです。

確定申告に慣れているため控除申請がスムーズ

ふるさと納税の税額控除を申請するには、確定申告が必要です。自営業の方は、例年確定申告を行っていることに加え、税控除の申請は確定申告書類の「寄附金控除」欄に寄付した合計金額を記入する程度なので、スムーズに行うことができるでしょう。

自営業の方がふるさと納税をするデメリットはある?

自営業の方がふるさと納税を行うメリットについて解説してきましたが、デメリットもあります。ここでは、以下2点のポイントについて、紹介します。

  • 今年の正確な収入を把握しづらい(所得の変動幅が大きいことが多いため)

  • ワンストップ特例制度は使えない

今年の正確な収入を把握しづらい(所得の変動幅が大きいことが多いため)

自営業の方は、ふるさと納税を行う年の正確な収入を把握しづらい点があります。自営業の方は、その年の情勢などで、どうしても収入の変動が大きくなることが考えられます。そのため、正確な控除上限額を計算しづらい点は、デメリットといえるでしょう。

たコツとしては、11月までにあらかじめ調べた控除限度額の8割程度の寄付を行い、収入が確定する12月に再度控除限度額を確認し、残りの金額を寄付するようにすれば、ふるさと納税の控除を最大限活用して賢く利用することができます。

ワンストップ特例制度は使えない

自営業の方は、ワンストップ特例制度を利用できません。ワンストップ特例制度とは、寄付をした自治体に申請書を提出するだけで、確定申告をしなくても控除を受けられる制度です。ただし、この制度はもともと確定申告をする必要のない会社員などが対象の制度であるため、自営業の方は対象外になるのです。

とはいえ、自営業の方は、もともと確定申告を行っているので、そこまで大きな手間にはならないでしょう。

【自営業用】ふるさと納税のやり方

ここからは、ふるさと納税のやり方を注意点と併せて以下の手順で説明していきます。

  • 控除上限額を調べる

  • 寄付先と返礼品を選ぶ

  • 寄附金受領証明書を保管

  • 確定申告の「寄附金控除」の欄を記入し確定申告をする

  • 翌年の住民税決定通知書で控除が正しくできているか確認

1.控除上限額を調べる

まずは、控除上限額を調べましょう。控除限度額を調べる方法は、以下の3つです。

  • 目安の金額を知りたい場合→住民税所得割額×20%

  • 控除限度額の計算式を使って知る場合→(住民税所得割額×課税所得に応じた変数)+2,000円

  • 正確な金額を知りたい場合→市区町村の住民税担当部署・税務署・税理士などに確認する

上記の詳細は「自営業のふるさと納税の控除上限額はいくらになる?」の項目で解説しているので、参考にしてください。

ふるさと納税を行える上限額は、年収・家族構成等によって異なります。3ステップで寄付の限度額がわかる「かんたんシミュレーター」で上限額の目安をチェック!

2.寄付先と返礼品を選ぶ

次に、寄付先と返礼品を選びます。寄付先は、自由に選択可能です。ただし、寄付先を選ぶ際は、先に調べた控除上限額を超えないように注意しましょう。

また、寄付をする際には、ふるさと納税サイトから返礼品や金額で検索し、寄付先を探すのが簡単でおすすめです。

3.寄附金受領証明書を保管

寄付先への申し込みと支払いが完了すると、返礼品と「寄附金受領証明書」が送らせてきます。「寄附金受領証明書」が、確定申告時に必要なので、大切に保管しましょう。

また、「寄附金受領証明書」が届くタイミングは、自治体によって異なります。返礼品と一緒に届く場合や、返礼品とは別に送られてくる場合もありますので、注意しましょう。

4.確定申告の「寄附金控除」の欄を記入し確定申告をする

次に、税金の控除を受けるために、確定申告を行います。確定申告書には、「寄附金控除」の金額を記入する箇所があります。この欄に、ふるさと納税を行った金額を記入すればOKです。また、確定申告書時には、「寄附金受領証明書」の提出が必要になりますので、忘れずに添付しましょう。

5.翌年の住民税決定通知書で控除が正しくできているか確認

最後に、翌年に届く「住民税決定通知書」から、控除額に間違いがないか確認します。「住民税決定通知書」の左下に「摘要」という項目があります。その欄に、「寄附金税額控除額:○○円」と記載がありますので、寄付した合計金額から自己負担金2,000円を引いた額になっていれば、正しく控除されていることになります。。

自営業の方がふるさと納税をする際の注意点と対策

自営業の方がふるさと納税を行うにあたり、注意点となるのが以下の2点です。

  • ワンストップ特例制度の利用はできない

  • 青色申告(複式簿記・簡易簿記)、白色申告の控除額を加味して「控除上限額」を確認する

先述した通り、自営業の方は、ワンストップ特例制度の利用条件にあてはまらないため、確定申告で控除の申請を行いましょう。また、正確な控除上限額は、確定申告方法によって異なります。申告によって控除される金額を加味して計算するようにしましょう。

まとめ

この記事では、自営業の方のふるさと納税「控除上限額」の調べ方や、メリット、注意点を説明しました。控除上限額の確認には少し手間がかかりますが、その分メリットも大きいです。ふるさと納税は、寄付をすることで、納税しながら返礼品を貰うことがでる、大変魅力的な制度です。ぜひ一度活用してみてはいかがでしょうか。

ふるさと納税を行うなら、「ふるラボ」を活用がおすすめです。「ふるラボ」は、返礼品をさまざまな角度から検索できるので便利です。また「控除額シミュレーション」や納税の手順動画もありわかりやすいので是非一度見てみて下さいね。

ふるさと納税を行える上限額は、年収・家族構成等によって異なります。3ステップで寄付の限度額がわかる「かんたんシミュレーター」で上限額の目安をチェック!