ふるさと納税のワンストップ特例制度申請後に引っ越した場合、必要な手続きは何がある?返礼品・控除を正しく受けるために必要なことを解説
ふるさと納税を行っている人の中には、「突然引っ越すことになってしまった」「直近で引っ越しを考えている」という人もいるのではないでしょうか。引っ越しをした場合には、ふるさと納税の控除を受けるために手続きが必要になる場合や、引っ越しに伴って寄付先へ連絡が必要になる場合があります。
この記事では、具体的な手続きや必要書類、手続きが不要なケースなど、「引っ越しに伴うふるさと納税の手続き」について詳しく説明をしていきます。手続きが不安な人や手続きの要・不要を確認したいという方は、ぜひ参考にしてください。
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目次
ふるさと納税をした年に引越しをした場合は追加手続きが必要なケースがある
ふるさと納税をした年に引っ越しをした場合、追加手続きが必要になるのは、以下の2つのケースです。
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ワンストップ特例制度を利用する場合
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返礼品・寄附金受領証明書を受け取る前に引っ越した場合
それぞれについて、具体的な手続きや必要な書類について説明をしていきます。
ワンストップ特例制度を利用する場合
「ワンストップ特例制度」とは、以下2つの条件を満たしている場合に、確定申告をしなくてもふるさと納税の控除が受けられる制度です。
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確定申告をする必要がない給与所得者である場合
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年間のふるさと納税寄付先が5自治体以内の場合(1つの自治体に複数回寄付しても1カウントとなります)
ワンストップ特例制度を使用するには、寄付先の自治体に「ワンストップ特例申請書」の提出が必要です。申請書を提出しているか・していないかによって必要な手続きが変わってくるため、それぞれに必要な手続きや申請書を以下にて説明していきます。
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まだワンストップ特例制度の申請書を提出していない場合
新しい住所を記載した「ワンストップ特例申請書 」を寄付先の自治体に提出します。申請書は、寄付先の自治体から届くか、自治体のウェブサイトおよびふるさと納税を行ったポータルサイトよりダウンロードできます。
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すでにワンストップ特例制度の申請書を提出している場合
翌年の1月10日までに「寄付金税額控除に係る申告特例申請事項変更届出書」を寄付先の自治体に提出する必要があります。申請書は、ふるさと納税のポータルサイトや各自治体のウェブサイトよりダウンロードできるので、各サイトを確認のうえ、用意をしてください。
返礼品・寄附金受領証明書を受け取る前に引っ越した場合
返礼品・寄付金受領証明書を受け取る前に引っ越した場合、返礼品や証明書の送付先の変更を行う必要があります。
送付先の変更を行う場合は、寄付先の自治体に連絡をしましょう。連絡先は、利用したふるさと納税ポータルサイトに記載のある自治体の問い合わせ先、または寄付先の自治体のウェブサイトに記載のある連絡先・問い合わせ先に連絡をしましょう。 利用したふるさと納税ポータルサイトによっては、サイト内で変更手続きが可能な場合もあります。各サイトより確認をして、手続きを行ってください。
先にも説明をしましたが、ワンストップ特例制度を利用する場合は、「申告特例申請書」または「寄付金税額控除に係る申告特例申請事項変更届出書」を寄付先の自治体に提出する必要があります。すでに申請書を提出している場合・まだ提出していない場合によって必要書類が異なるため、確認のうえ、あわせて提出を行いましょう。
確定申告をする場合は追加手続き不要
確定申告をする場合には、追加で特別な手続きを行う必要はありません。寄付金控除によって控除される住民税は、ふるさと納税を行った年の翌年1月1日時点の住民票所在地で課税されます。 そのため、確定申告期限後の引っ越しであれば、届け出は不要です。
ただし、返礼品・寄附金受領証明書が届いていない場合には、寄付先の自治体に送付先変更について連絡をする必要があります。利用したふるさと納税ポータルサイト、または寄付先の自治体のウェブサイトを確認し、各自治体へ連絡をしましょう。
また、届いた寄附金受領証明書が「旧住所記載の寄付金受領証明書」である場合、税務署により確定申告が受理されない場合もあります。面倒な手続きをさけるためにも、念のため寄付先の自治体に連絡し、新しい住所で再発行することをおすすめします。
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ふるさと納税をした年以外に引越しをした場合はどうなる?
寄付金控除による住民税の控除は、「ふるさと納税を行った翌年1月1日時点の住民票記載の居住地」をもとに決められます。そのため、ふるさと納税を行った年以外に引っ越しをした場合には、ふるさと納税や住民税の控除に影響はありません。
引越し手続きがいらない主なケースは「海外への引越し」
ふるさと納税を行った年に引っ越しをした場合、手続きがいらないケースもあります。引っ越し後にふるさと納税についての手続きがいらない主なケースは、「海外へ引っ越す」場合です。以下で詳しく解説します。
海外への引越しの場合は手続きが不要なのはなぜ?
前の項目で説明したように、住民税は「ふるさと納税を行った翌年1月1日時点の住民票記載の居住地」をもとに決まります。そのため、ふるさと納税を行った年に海外へ引っ越した場合、翌年1月1日時点での居住地が海外になるため、住民税の課税対象から外れます。ですので、ふるさと納税に関する手続きは不要となります。
ただし、「ふるさと納税を行った翌年の1月2日以降」に引っ越しを行った場合、ふるさと納税を行った年の翌年1月1日時点では国内に居住しているため、住民税を納税する必要があります。その場合は、ふるさと納税の控除対象になるため、手続きが必要です。忘れずに控除の申請を行うようにしましょう。
海外への引越しの場合「ふるさと納税の控除」も受けられないので注意
前章にて説明をしましたが、ふるさと納税を行った年に海外に引っ越した場合には、翌年1月1日の居住地が海外であるため、住民税の課税対象から外れます。そもそも「住民税の課税対象外」になるため、ふるさと納税の控除は受けられません。
「ふるさと納税を行った翌年1月2日以降」に海外に引っ越す場合には、翌年1月1日時点での居住地が日本国内のため、住民税の課税対象になります。そのため、ふるさと納税の控除を受けることができます。寄付をしている場合には、忘れずに控除の手続きを行うようにしましょう。
もし前の引越し前の住所に返礼品や関連書類が届いてしまったらどうすべき?
引っ越し前の住所に返礼品や関連書類が届いてしまった場合、配送業者などへ問い合わせを行う必要があります。配送業者・郵便局のウェブサイトより詳細を確認し、問い合わせまたは必要な手続きを行ってください。
そうならないために、返礼品・関連書類が届く前に引っ越しを行う場合には、寄付先の自治体へ事前に送付先変更の連絡をしましょう。利用したふるさと納税ポータルサイトから自治体の連絡先を確認するか、記載がない場合には寄付先の自治体のウェブサイトから連絡先を確認してください。
また、郵便局では引っ越しに伴う「転送サービス 」を行っています。配送業者によっても転送サービスを行っているところもあるので、不安な方はあわせて確認するとよいでしょう。サービスの利用については郵便局・各配送業者のウェブサイトより詳細を確認してください。
面倒な手続きを避けるためには「引越し後」にふるさと納税をするのがおすすめ
今回は、「ふるさと納税後に引っ越しを行った場合」の手続きについて説明をしてきました。最後に、簡単にこの記事の内容を振り返りましょう。
ふるさと納税をした年に引っ越しをした場合、追加の手続きが必要になるのは以下のケースです。
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ワンストップ特例制度を利用する場合
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返礼品・寄附金控除証明書を受け取りきる前に引っ越した場合
上記のような面倒な手続きを割けるためにも「引っ越し後」にふるさと納税を行うことをおすすめします。これから引っ越しを行う場合には「ふるさと納税をする翌年1月1日時点での住所」で寄付を行うのもよいでしょう。
また、やむを得ず引っ越しをすることになってしまった場合でも、記事内で説明したように手続きが不要な場合もあります。手続きが不要になるのは以下の場合です。
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同じ市区町村に引っ越しをした場合
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住民票の異動手続きが、ふるさと納税を行った翌年の1月2日以降の場合
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海外に引っ越した場合
上記の場合でも、返礼品や寄附金受領証明書を受け取っていない場合には、寄付先の自治体へ受取先変更の連絡を行う必要があります。適切に控除を受け、返礼品を受け取るために、この記事を参考にして必要な手続きを行ってくださいね。
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