ふるさと納税の控除額の確認方法|住民税が控除されていないときの原因は?

ふるさと納税の控除額の確認方法|住民税が控除されていないときの原因は?

ふるさと納税の手続きを済ませた後、「本当に控除されているのかどうか」と不安に思う人もいるのではないでしょうか。そこで本記事では、ふるさと納税による控除額の確認方法を詳しく解説します。なんとなくふるさと納税をしていた人やどうやって確認すればよいか分からなかった人は、ぜひ参考にしてみてください。

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ふるさと納税の控除額の確認には「住民税決定通知書」が必要

ふるさと納税の控除額を確認するには、「住民税決定通知書」が必要です。「住民税課税決定通知書」とも呼ばれるもので、住民票所在地に納める「道府県民税」(東京都民は「都民税」)と「市町村民税」(東京都民は「特別区民税」)を通知するものです。ふるさと納税を含む各種控除額と、控除額を差し引いた最終課税額が記載されています。

住民税額は前年の所得に応じて決まりますが、「特別徴収」と「普通徴収」にわかれていて、どちらの方法で納めているかによって税額決定のタイミングや通知書の受け取り方法が異なります。

  • 特別徴収

    給与所得者が住民税を納付する方法です。毎年1月末までに雇用者(会社)が従業員全員の昨年分の給与支払報告書を提出し、そこから税額が算出されます。5月か6月には会社へ通知書が送られるので、会社から配布されていなければ問い合わせてみましょう。

  • 普通徴収

    主に個人事業主や公的年金所得者の納税方法です。毎年3月15日までに行う確定申告で申告した所得によって税額が決定します。6月になると通知書とともに納付書が送られてくるので、自分で支払い手続きをしましょう。

ふるさと納税の控除額の確認方法

「住民税決定通知書」が手元にあれば控除額を確認できますが、その前にふるさと納税をどの方法で申告したかの確認が必要です。そもそもふるさと納税を申告するには、「ワンストップ特例制度」と「確定申告」の2つの方法があります。

「ワンストップ特例制度」を使って申告すると、翌年の住民税から控除されます。また「確定申告」を利用すると、ふるさと納税を行った年の所得税から還付され、残りが翌年の住民税から控除されます。

どちらで申告したかによって確認方法が異なるので、しっかりと把握しておきましょう。

ワンストップ特例を申請した場合

まず、ワンストップ特例制度を使って申請した場合の確認方法を解説します。

ワンストップ特例制度とは、寄付した自治体から直接居住地の自治体へ控除情報が通知されるため、確定申告をしなくても申請が済むという便利な制度です。ただし、「給与所得者であること」と「寄付先が年間5自治体以内であること」などの条件があります。

ふるさと納税をワンストップ特例制度で申請すると、自動的に翌年の住民税から控除されます。住民税からの控除のみなので、「住民税決定通知書」で簡単に確認が可能です。

確認方法は、まず「住民税決定通知書」の摘要欄を見ます。摘要欄に寄付金控除額の記載がある場合、その金額が「寄付した金額-2,000円」になっていれば正しく控除されています。

自治体によっては、摘要欄に記載がない場合があります。その際は、税額欄の「市町村」及び「道府県」の「税額控除額⑤」を確認します。ほかに住宅ローン控除や調整控除などがない場合は、市町村と道府県を足した税額控除額が「寄付した金額-2,000円」になっているはずです。もしほかにも控除があり、正確な控除額が分からなければ、居住地の税務署に問い合わせてみてください。

出典:総務省資料「個人住民税の特別徴収税額決定通知書(納税義務者用)の記載内容に係る秘匿措置の促進(概要)」

確定申告をした場合

次に、確定申告をした場合について説明します。確定申告は、一般的に自営業者や個人事業主が行いますが、給与所得者であっても年収が2,000万円をこえる方や不動産収入がある方などは確定申告をしなくてはいけません。また、ワンストップ特例の期限内に申告ができなかった方も対象になります。毎年2月16日から3月15日までに申告書を作成し、税務署へ提出することで税額の控除が受けられます。

確定申告で控除されるのは、「所得税」と「住民税」です。提出方法にもよりますが、申告書が受理されてからおよそ2週間~1カ月で所得税からの還付金が振り込まれます。もし、還付額が所得税額以上だった場合には、残った金額が住民税から控除されます。年末調整など、ほかの要因で所得税がすでに0円になっている場合は、還付金はなく、全額住民税からの控除となります。

まずは、「住民税決定通知書」で「住民税からの控除額」を調べましょう。見るべき箇所は、ワンストップ特例の際と同じで「摘要欄」及び「税額控除額欄」です。どちらに控除額が記載されているかをチェックします。

今度は「所得税からの控除額」を確認します。所得税からの控除額は「確定申告書」で確認できます。税務署へ提出した確定申告書の写しを手元に用意しましょう。控除額を割り出すには、確定申告書に記載されている課税所得金額から、所得税率を調べる必要があります。所得税率は所得によって異なるので、「課税所得金額」を以下の表に当てはめて確認しましょう。

所得金額

税率

1,000円~1,949,000円

5%

1,950,000円~3,299,000円

10%

3,300,000円~6,949,000円

20%

6,950,000円~8,999,000円

23%

9,000,000円~17,999,000円

33%

18,000,000円~39,999,000円

40%

40,000,000円~

45%

※1,000円未満は切り捨て
参照:国税庁「No.2260 所得税の税率

自分の所得税率がわかれば、以下の計算式に当てはめて、還付額を割り出します。
(寄付金額―自己負担分2,000円)×所得税率×1.021(復興税)=所得税からの還付額

算出した還付額と、「住民税決定通知書」で確認した控除額の合計が、「寄付した金額-2,000円」になれば正解です。

例えば、年収400万円で3万円を寄付した場合を上記の計算式に当てはめてみると、以下のようになります。
(30,000-2,000)×0.2×1.021=5,717

よって、5,717円が所得税から還付されます。さらに、「住民税決定通知書」の摘要欄及び税額控除欄を確認します。寄付金3万円から自己負担分2,000円と上記所得税からの還付分5,717円を引いた22,283円が住民税から控除されていれば、正しく控除されているということです。

ふるさと納税による控除がされていないときの原因

控除額を確認した際に、寄付金額と合っていなかったり、控除がされていなかったりした場合は、どうすればよいのでしょうか。「控除額が合わない」「控除がされていない」場合は、以下のような原因が考えられます。

  • ふるさと納税の限度額を超えている

  • 寄付金の申請漏れがある

  • ワンストップ特例の申請後に確定申告をしている

  • 6団体以上への寄付でワンストップ特例を申請している

各原因について、理由と対応を説明します。

納税の限度額を超えている

ふるさと納税で寄付した金額と控除額が合わない場合は、納税の限度額を超えて寄付した恐れがあります。

ふるさと納税で控除される上限金額は、寄付する人の所得や家族構成などで決定します。本来は、控除限度額から自己負担金2,000円を引いた分が控除額となるのですが、限度額を超えて寄付した場合は、超過分も自己負担になります。

うっかり上限額を超えてしまわないよう、自分の寄付金控除上限額を把握しておくことが必要です。

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寄付金の申請漏れがある

寄付金の申請漏れがあった場合は、控除が受けられません。例えば、ワンストップ特例申請書を自治体へ送り返していなかったり、期日内に確定申告ができていなかったりした場合、そもそも申請が行われていないことになるため、控除されません。

申請漏れを防ぐには、各申請方法の期日を確認しておくことが大切です。ちなみに、ワンストップ特例制度は、寄付をした翌年の1月10日まで、確定申告は寄付をした翌年の3月15日までです。どちらも期日間際は受付窓口が混み合うので、早めに申請を終えておくと安心です。書類不備で受理されない恐れもあるため、必要書類はしっかりと確認しましょう。

万が一、申請期日に間に合わなかった場合でも、控除を受けるのは可能です。ワンストップ特例申請ができなかった場合には、確定申告で申請すれば問題ありません。確定申告の期日が過ぎた場合も大丈夫です。「還付申告」及び「更生の請求」を行えば、控除は受けられます。「還付申告」はそもそも確定申告自体を行っていない人、「更生の請求」は確定申告を行ったがふるさと納税の申請が抜けていた人が行います。どちらも「5年以内」に申告する必要があるので、注意しましょう。

ワンストップ特例の申請後に確定申告をしている

ワンストップ特例は、確定申告をする必要のない給与所得者などが、確定申告をせずにふるさと納税の控除申請をするための制度です。そのため、ワンストップ特例で申請した人がその後確定申告もしてしまうと、ワンストップ特例が無効となります。

万が一、ワンストップ特例申請後の確定申告で記載漏れがあった場合には、「更生の請求」で申告を修正できます。更正の請求は5年以内なら遡って請求可能なため、漏れている申請がある場合には忘れずに申告してくださいね。

6団体以上への寄付でワンストップ特例を申請している

ワンストップ特例は、「5団体以内への寄付」に限ります。6団体以上への寄付を申請すると、ワンストップ特例の対象外となり、控除が受けられません。

ここで注意すべきなのは、「5団体分はワンストップ特例が適用され、超えた分は確定申告で申請」とはならないことです。すでに5団体分のワンストップ特例を申請していても、6団体目を申請した時点で前の5団体分も無効となります。ただし、あくまで「5団体以内」なので、同一自治体に2回寄付をした場合は、合わせて1団体とみなされます。

もし、6団体以上に寄付をした場合は、確定申告が必要となります。すでに1団体分のワンストップ特例を申請した後でも、全ての寄付を確定申告書に記載しましょう。確定申告には各自治体から送られてくる「寄附金受領書」が必要になるため、紛失しないよう気をつけてくださいね。

ふるさと納税の控除限度額の確認方法

ふるさと納税の寄付金控除上限額を超えて寄付してしまうと、超過分は自己負担となり、控除の対象となりません。

必ず引かれる実質自己負担金2,000円を除いた満額控除を受けるためには、自分の控除限度額を知っておく必要があります。控除限度額を調べるのに難しい計算は必要なく、ふるさと納税のポータルサイトなどにあるシミュレーション機能を使えばすぐに確認できますよ。

ここでは簡単に限度額を調べられる、「ふるラボ」のシミュレーター「かんたんシミュレーター」を使って解説しましょう。

<年収500万円、夫婦共働き(子どもなし)の場合>

まずは、シミュレーターで年収を選びます。

次に、家族構成です。ここにある「夫婦」とは、配偶者に収入がない場合です。今回のケースは共働きですので、「独身又は共働き」を選びます。

必要項目を選ぶと、寄付上限額が表示されます。

とても簡単に上限額の目安が調べられるので、ふるさと納税へのハードルが下がりますね。

まとめ

せっかく行ったふるさと納税を無駄にしないためにも、控除が正しくされているかの確認は必要です。また、どの方法で申請したか、申請方法に不備はなかったかをきちんと把握しておくことも大切です。加えて、自分の寄付上限額を知っておかなければ、ただ寄付しただけということになります。たった2ステップで寄付限度額が調べられる「ふるラボ」のかんたんシミュレーターを使って、しっかりと確認してからふるさと納税を行いましょう。