退職金にかかる税金はふるさと納税で控除できる?仕組みを解説

退職金にかかる税金はふるさと納税で控除できる?仕組みを解説

退職を迎える方の中には、退職金にかかる税金をふるさと納税で控除できないか気になっている方もいることでしょう。

損をしないためにも、正しい知識を身につけてからふるさと納税を利用することをおすすめします。

この記事では、退職金にかかる税金をふるさと納税によって控除できるかどうか、ふるさと納税の仕組みや控除限度額のシミュレーション、ふるさと納税すべきか、手続き方法などを解説します。ふるさと納税と退職金について詳しく知りたい方は是非参考にしてください。

退職金にかかる税金はふるさと納税で控除できる?

退職金制度を導入している企業では、退職時に退職金を受け取れます。退職金を受け取った年は所得が増えるため、ふるさと納税を利用すれば、何らかの恩恵を受けられるのではと考えている方も多いのではないでしょうか。

退職金はふるさと納税の控除限度額に影響を与える可能性がありますが、退職金にかけられる住民税はふるさと納税の控除対象外、控除対象となるのは所得税だけで、与える影響はあまり大きくありません。

退職金制度は、退職後の生活を支えるための重要な資金で税制上の優遇が大きく、所得税額や住民税額がそこまで多額にならないため、退職金とふるさと納税を組み合わせれば大きな恩恵を受けられるとは考えないほうが良いでしょう。

ふるさと納税の仕組み

従来、納税者は居住地の自治体に対して、勤務先や税務署などを通して納税していました。しかし、ふるさと納税では居住地に納めていた税金を自分の好きな地域に納めることができるようになりました。

例えば、仕事や結婚などの理由で故郷とは離れた場所で生活しているものの、自身の生まれ故郷に税金を納めたいと考えている場合は、ふるさと納税を利用すれば生まれ故郷に納税することが可能です。

また、寄付金額の約3割に相当する特産品を手に入れることができるため、お得に納税できるのも魅力です。さらには、ふるさと納税を行った年の所得税の還付、翌年度分の住民税の減額も受けられるため、ふるさと納税を利用したほうがお得と言えるでしょう。

ふるさと納税の仕組みについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

ふるさと納税の控除限度額をシミュレーション

ふるさと納税には控除限度額が定められています。控除限度額を超える納税を行っても問題はありませんが、限度額を超えても受けられる恩恵が大きくなるわけではないため、控除限度額に合わせてふるさと納税を行うほうが良いでしょう。

控除限度額は人によって違うため、自身の控除限度額がいくらになるのかを事前に確認しておくことが大切です。しかし、控除限度額は、所得や家族構成、扶養家族の有無によって変化するため、計算が簡単ではありません。

そこでおすすめするのがシミュレーションを利用するという方法です。例えば、ふるらぼの「かんたんシミュレーター」であれば、3ステップで寄付の限度額を調べることが可能です。

仮に、給与収入「500万円」、家族構成「既婚」(配偶者控除あり)、扶養家族2人(0~15歳)とした場合は寄付上限額が52,000円と表示されます。給与収入が同じで未婚の場合は、寄付上限額が61,000円です。

自身の控除限度額を知りたい方は、シミュレーションを行ってみましょう。限度額を確認する方法、控除上限額について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

退職予定の場合、ふるさと納税はしないほうがいい?

退職予定の場合、退職金を受け取るにあたってふるさと納税すべきかどうか悩んでいる方も多いことでしょう。

退職一時金として受け取る場合と年金形式で受け取る場合でどのような恩恵があるのか見ていきましょう。

退職一時金として退職金を受け取った場合

退職一時金とは、退職時に一括で受け取る退職金のことです。退職一時金は、税制上は退職所得として給与といった他の所得とは区別して扱われるため、特別な税率が適用されることになるのです。

原則退職一時金に課される税金は、ふるさと納税の対象外となります。また、退職一時金は、税制上の優遇が大きく、仮に退職所得にふるさと納税を利用したとしても限度額が大きくならないのでふるさと納税をする必要はないでしょう。

年金形式で退職金を受け取った場合

年金形式の退職金の場合は、雑所得として給与や公的年金などと合算することで総所得として扱われます。総所得はふるさと納税の対象となるため、ふるさと納税をしたほうが恩恵を受けられそうですが、そうとは言い切れません。

その理由は、年収が退職前よりも退職後のほうが基本的に少なくなるためです。そのため、限度額が多くなる可能性は低く、ふるさと納税をすることによる恩恵が小さいのでほとんど必要ないでしょう。

ふるさと納税はしたほうが良いとは言い切れません。ふるさと納税をしないほうがいいケースもあるため、詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

退職後のふるさと納税の手続き方法

退職後のふるさと納税の手続きを不備なくスムーズに行うためには、手続き方法を事前に把握しておくことが大切です。

ふるさと納税の手続き方法は、再就職するか無職のままなのかによって異なります。それぞれの手続き方法について詳しく解説していきます。

退職した年に再就職をした場合

退職した年に再就職した場合、就職先で年末調整が可能であればワンストップ特例制度を利用することが可能です。

ワンストップ特例制度は、確定申告せずにふるさと納税の控除を受けられる制度です。そのため、手続きの時間と手間を省くことができます。確定申告を行わない代わりに寄付金税額控除に係る申告特例申請書を寄付するたびに寄付先の自治体へ送付することによって手続きが完了するのです。

ふるさと納税の返礼品を申し込む場合に「ワンストップ特例制度を利用する」というチェックボックスにチェックを入れれば、申請書が寄付先の自治体から送られてくるので必要事項を記入して返送しましょう。

ワンストップ特例制度について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

退職後、無職の場合

退職後、無職の場合は確定申告が必要です。確定申告は翌年の原則2月16日~3月15日に行います。確定申告で受けられる所得税の控除は確定申告からおよそ2か月後、申告時に指定した口座に振り込まれます。

確定申告にてふるさと納税の控除を申告する際は、寄付金受領証明書が必要なので紛失しないように注意しましょう。

また、確定申告をする場合はワンストップ特例制度が使えませんので、仮に申請したとしても改めて確定申告する必要があります。

ふるさと納税の確定申告について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

ふるさと納税に関するよくある質問

退職金とふるさと納税の理解を深めるためにもよくある質問と回答を確認しておきましょう。

Q.退職した翌年の住民税はいくら?

住民税は前年の所得で決まります。ただし、退職金にかかる税金は給料にかかる税金とは別に計算され、源泉徴収で支払われますので退職金が住民税に影響することはほとんどありません。

Q.12月末に退職したらふるさと納税はどうなる?

12月末に退職した場合もその年の所得が対象となるため、ふるさと納税の控除を受けることが可能です。通常は年末調整が行われますので、ワンストップ特例制度による控除が可能です。ただし、年末調整を行わないまま退職した場合は確定申告が必要ですので必ず行ってください。なお、この場合ワンストップ特例制度による控除はできません。

Q.退職した年の年金はふるさと納税の対象になる?

退職した年の年金についても所得税法上の所得として扱われるため、ふるさと納税の対象です。退職後についても年金収入がある場合は、その年金収入が所得とみなされてふるさと納税を行うことができます。

まとめ

退職金を受け取った年は所得が増えるため、ふるさと納税を利用して税負担を軽減したいと考える方も多いことでしょう。しかし、退職金を受け取った場合もふるさと納税の控除上限額はあまり変化しないため、恩恵はあまり大きくありません。そのため、退職金を受け取った場合のふるさと納税はどちらでも良いと言えるでしょう。

年内に退職してふるさと納税をする場合、退職後に再就職するのか、無職のままでいるのかによって手続きの方法が変わることがあります。不備なくスムーズに手続きを進めるためにも、事前に手続き方法をしっかり確認しておきましょう。