ふるさと納税をしないほうがいいケースはある?本当にしないほうがいい?注意点も解説
2008年に創設された、自治体への寄付金制度「ふるさと納税」。利用には多くのメリットがある一方、ふるさと納税をしない方がいいケースがあることをご存知でしょうか。
今回は、ふるさと納税しない方がいいケースほか、ふるさと納税する際の注意点についてもご紹介。ふるさと納税に関するよくある質問に回答しています。
ふるさと納税を行える上限額は、年収・家族構成等によって異なります。3ステップで寄付の限度額がわかる「かんたんシミュレーター」で上限額の目安をチェック!
ふるさと納税をしないほうがいいケースはある?
ふるさと納税は、好きな自治体に寄付をすることで、税金が控除され、返礼品が受け取れる制度です。寄付金の使い道を指定して地域活性化に寄与したり、災害復興に活用したりすることもできます。
このように多くのメリットがある一方、以下のようなケースではふるさと納税をしない方がよい可能性があります。
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手元にお金がない場合
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収入が少ない場合
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手続きを面倒に感じる場合
手元にお金がない場合
ふるさと納税は、寄付をした翌年に税金が控除(還付)されます。
つまり、寄付から控除(還付)までには時間がかかり、ふるさと納税する年度には控除(還付)が受けられないためご注意ください。
手元に資金の余裕がない時や、直近で大きな支出などがあるケースなどでは、ふるさと納税しない方が良い可能性があります。
収入が少ない場合
ふるさと納税は、所得税・住民税が税控除の対象となります。
一方、収入が少なく所得税・住民税が発生しない場合、控除すべき税金も存在しないため、ふるさと納税する意味がありません。
また、発生する所得税・住民税がごく少額で、返礼品の選択肢があまりない場合なども「手間をかけてふるさと納税するのは、ばかばかしい」と感じるかもしれません。
具体的には、専業主婦/主夫・扶養家族・赤字の個人事業主などの方は、ふるさと納税のメリットが享受できない可能性があります。
なお、一定以上の収入を得ていても、医療費控除などの利用によって、ふるさと納税の控除対象がなくなる可能性もあるため、注意が必要です。
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手続きを面倒に感じる場合
手続きが面倒に感じる方も、ふるさと納税しないほうがいい可能性があります。ふるさと納税は、控除限度額を計算した上で、所定の手続きを踏まないと、控除が受けられないためです。
ただし、給与所得者の方は、申請書類を寄付する自治体に提出するのみで手続きが完了する「ワンストップ特例制度」が適用されるため、手続きは非常に簡単です。
一方、給与所得者であっても、以下のような場合はワンストップ特例制度が適用されず、確定申告が必要となるため、手続きが面倒になります。
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年間に6自治体以上寄付する方
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医療費控除などの申告をする方
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ワンストップ特例の申請書の提出を忘れた方
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自営業者の方
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ふるさと納税をしている人の割合
ニッセイ基礎研究所が2022年に発表したところ(※)によると、2020年にふるさと納税を利用した割合は30%となっています。
ふるさと納税の利用率は年々上がっていますが、まだ多くの人に使われていないことがわかります。
この調査では、ふるさと納税をしない理由も聞いており、一番多いのは「仕組みやメリットをよく知らないため(37%)」ついで、「必要性を感じないため(28%)」などとなっています
※:ふるさと納税をしない理由(ニッセイ基礎研究所 岩﨑敬子2022年発表)
ふるさと納税は本当にしないほうがいい?
ふるさと納税は「手続き方法がわからない」「時間がない」などの理由でしない人も多く、実際にしないほうが良いケースもあります。
一方、所得税・住民税の納付が必要な方であれば、以下のようなメリットが享受できるため、ふるさと納税の利用がおすすめできます。
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好きな返礼品を自己負担2,000円でもらえる
ふるさと納税では、自己負担2,000円で様々な選択肢の中から、好きな返礼品をもらうことが可能です。例えば控除限度額が50,000円の場合、好きな返礼品をもらいつつ、自己負担2,000円を引いた「48,000円」が後から実質的に戻ってきます。
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生活費の節約になる
ふるさと納税を通じて、自己負担2,000円を超える価値の食品・日用品などをもらうことで、生活費の節約につながります。
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クレジットカードのポイントが貯められる
ふるさと納税をクレジットカードで実施すると、ポイントを貯めることができるため、実質的な負担額がさらに少なくなります。
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地域貢献できる
故郷や思い入れのある自治体に寄付し、寄付金の使い道も指定できるため、 積極的な地域貢献ができます。
ふるさと納税をする際の注意点
所得税・住民税の納付が必要な方に多くのメリットがあるふるさと納税ですが、制度を利用する際は以下の点にご注意ください。
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ふるさと納税は必ず寄付金控除の手続きが必要
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寄付金が戻ってくるまで時間がかかる
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控除限度額を超えた場合は自己負担になる
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減税対策にはならない
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住宅ローンなど他の控除と併用する場合は注意
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申込み名義は控除申請者と同じにする必要がある
ふるさと納税は必ず寄付金控除の手続きが必要
ふるさと納税の利用に際しては、ご自身で手続きをする必要がありますが、特に気をつけたいのが「ワンストップ特例制度を利用時」です。
ワンストップ特例制度を利用する場合、自治体に「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を送付する必要があります。
複数の自治体にふるさと納税する場合は、 ふるさと納税する全ての自治体に「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を翌年の1月10日まで(必着)に送付しなければなりません。
送付を忘れた場合や間に合わなかった場合、ワンストップ特例制度が利用できず、確定申告が必要となります。
寄付金が戻ってくるまで時間がかかる
ふるさと納税は、寄付の翌年に税金が控除(還付)される仕組みです。各税金が控除(還付)される期間の目安は以下の通りです。
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住民税の控除:翌年の6月以降
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所得税の還付:確定申告から最短数週間後
そのため、余裕資金がない方や大きな出費を控える方などは、注意が必要です。
控除限度額を超えた場合は自己負担になる
ふるさと納税は、税金の控除額に上限(控除限度額)が設けられています。
控除限度額は「収入」「家族構成」「扶養家族の有無」「併用するその他の控除制度」などに応じて変わるため、 ふるさと納税の利用前に、ご自身の控除上限額を調べておくことが大切です。
例えば、控除限度額60,000円の方の場合、 ちょうど60,000円分ふるさと納税すれば、自己負担額2,000円以外にはかかりません。
一方、控除限度額60,000円に対して、 100,000円分ふるさと納税すると、2,000円に加えて控除限度額を超えた金額(40,000円)も自己負担となります。
控除限度額を超えた金額は、少なくとも住民税の控除の対象とならないため、ご注意ください。
減税対策にはならない
ふるさと納税は減税に活用できる制度ではないため、それらを目的とする場合は注意が必要です。
寄付金は後で控除・還付され、2,000円の自己負担額しかかからないことから、減税できているイメージですが、実際には寄付先の自治体に対して税金を振り替えているのと一緒です。
つまり、ふるさと納税を利用しても、最終的に支払うべき税額が変わるわけではなく、減税にはなりません。
住宅ローンなど他の控除と併用する場合は注意
ふるさと納税は住宅ローンほか、医療費控除やiDeCo(個人型確定拠出年金)とも併用できます。
ただし、住宅ローン控除の初回適用では確定申告が必要なため、ワンストップ特例制度が利用できない点には注意が必要です。
また、医療費控除・iDeCo(個人型確定拠出年金)を併用すると、所得が減少するため、ふるさと納税の控除上限額も減少します。
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申込み名義は控除申請者と同じにする必要がある
ふるさと納税は、寄付を申し込む方の名義と、所得税・住民税の控除を受ける方の名義が、一致する必要があります。
例えば「夫が扶養家族(妻)の分も、一括でふるさと納税を申し込み、支払いをする」といったことはできません。
ふるさと納税の支払いでは、申込み者本人の名義のクレジットカードしか使えないため、ご注意ください。
ふるさと納税に関するよくある質問
最後に、ふるさと納税に関するよくある質問に回答します。
Q.ふるさと納税は本当に損しない?
一定以上の収入を得ていて、所得税・住民税を支払わなければならない方がふるさと納税を実施すると、所得税の還付・住民税の控除が受けられるだけでなく、好きな返礼品ももらえます。
ふるさと納税の利用には、自己負担金2,000円がかかりますが、利用する価値のある制度ということができるでしょう。
Q.ふるさと納税をすると会社に迷惑がかかるって本当?
ふるさと納税をしても、勤務先の事務手続き負担などが増えるわけではないため、迷惑はかかりません。
逆に、ふるさと納税に関わる手続きは勤務先が行うわけではないため、ご自身でワンストップ特例制度を利用したり、確定申告したりする必要があります。
Q.ふるさと納税で損をする年収は?
控除すべき所得税・住民税が発生しない非課税世帯の場合、ふるさと納税の控除限度額が0円のため、メリットが享受できません。
具体的に、非課税世帯の目安は「年収100万円以下」です。
ふるさと納税の利用に際しては、自己負担金2,000円がかかり、さらに控除限度額を超過した分も自己負担となるため、非課税世帯の方が利用すると全額が自己負担となります。
まとめ
ふるさと納税は「手元にお金がない」「収入が少ない」といったケースでは、しない方が良い可能性もあります。
一方、給与所得者で確定申告しない方などは、手続きが非常に簡単な「ワンストップ特例制度」が利用可能。「手続きが面倒」と感じる方でも、簡単にふるさと納税できます。
ふるさと納税は、所得税・住民税の控除が受けられるとともに、自己負担2,000円で好きな返礼品がもらえる制度です。所得税・住民税が発生する方であれば、利用のメリットが大きいため、ぜひ活用しましょう。
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