ふるさと納税に源泉徴収票は必要?控除限度額の確認方法を解説

ふるさと納税に源泉徴収票は必要?控除限度額の確認方法を解説

会社勤めの方の場合、ふるさと納税で寄付をする際には、源泉徴収票に記載されている内容を参考にする必要があります。この記事では、ふるさと納税における源泉徴収票の必要性や、控除限度額の確認方法について詳しく解説します。これからふるさと納税に申し込もうと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

ふるさと納税に源泉徴収票は必要?

主に、会社勤めの方がふるさと納税を行う際は、源泉徴収票に記載の内容を参考にする必要があります。なぜなら、ふるさと納税の控除限度額を正確に計算するためには、源泉徴収票に記載されている情報が必要だからです。

源泉徴収票には、自分の年収や所得控除額などの情報が記載されており、これらの情報をもとに、ふるさと納税の控除限度額を算出することができます。控除限度額を超えてふるさと納税をしてしまうと、超過分は自己負担となってしまいます。そのため、控除の範囲内でふるさと納税を行いたい方は、事前に必ず源泉徴収票を確認し、自分の控除限度額を把握しておきましょう。

ふるさと納税の控除限度額の計算に必要な情報は、源泉徴収票のどこで確認できる?

ふるさと納税の控除限度額の計算を概算程度で行うには、まず、自身の「年収」額が必要です。この年収には、1年間の給与や賞与の額面が該当しますが、その金額は源泉徴収票の「支払金額」の欄で確認できます。

引用:国税庁|給与所得の源泉徴収票(令和4年分以後用)

ふるさと納税に控除限度額はいつの年収で計算する?

控除限度額を計算する際は、「ふるさと納税を行う年の年収」で計算します。たとえば、2024年にふるさと納税をする方は、2024年1月1日から2024年12月31日までの収入で、控除限度額を割り出します。
特に、昇給や転職、退職など、年収が大きく変動する可能性がある場合は注意が必要です。年収が増える場合は控除限度額も増えますが、減少する場合は控除限度額も下がります。したがって、ふるさと納税を検討する際は、その年の予想年収を考慮に入れて控除限度額を計算することが重要です。年収が不確定な場合は、控えめな金額でふるさと納税を行い、年末に再度確認して追加の寄付を検討しましょう。

なお、源泉徴収票は、毎年末(11~12月頃)に勤め先の企業からもらうことができます。

ふるさと納税の控除限度額を簡単に確認する方法

ふるさと納税の控除限度額を正確に把握するには、複雑な計算が必要になります。しかし、以下2つの方法なら、控除限度額の目安額を簡単に確認することができます。

  • シミュレーターを利用する

  • 早見表を利用する

これらの方法を使えば、源泉徴収票の情報をもとに、手軽に自分の控除限度額を知ることができるでしょう。

シミュレーターを利用する

ふるさと納税の控除限度額を簡単に確認する方法の一つに、オンラインシミュレーターの利用があります。特におすすめなのが、3ステップで寄付の限度額がわかる「かんたんシミュレーター」です。
このシミュレーターでは、年収、家族構成を選択し、最後に、その他の控除の有無を選択するだけで、自身のふるさと納税の控除限度額の目安を知ることができます。

ただし、シミュレーターの結果はあくまで目安です。特に、住宅ローン控除や医療費控除など、他の控除を併用している場合は、実際の控除限度額が異なる可能性があります。シミュレーターは便利なツールですが、不安な点がある場合は、税理士や自治体の担当窓口に相談しましょう。

早見表を利用する

ふるさと納税の控除限度額を簡単に確認するもう一つの方法が、早見表の利用です。早見表は、年収や家族構成に応じた控除限度額をまとめたものです。これを使えば、すぐにおおよその控除限度額を知ることができます。

ただし、早見表を利用する際にも注意点があります。まず、早見表の金額はあくまで目安であることを理解しておく必要があります。実際の控除限度額は、より詳細な計算によって決定されます。また、早見表は通常のケースを想定しているため、住宅ローン控除や医療費控除など、特別な控除がある場合は、実際の控除限度額と異なる可能性があります。より正確な控除限度額を知りたい場合は、専門家に相談をするのが賢明です。

以下に、自身の年収と家族構成ごとにまとめた早見表を掲載します。ぜひ活用してください。

独身または共働き※1夫婦※2共働き+子
(高校生※3)
共働き+子
(大学生※4)
夫婦+子
(高校生)
夫婦+
子2人
(高校生と大学生)
300万円28,00019,00019,00015,00011,000
350万円34,00026,00026,00022,00018,0005,000
400万円42,00033,00033,00029,00025,00012,000
450万円52,00041,00041,00037,00033,00020,000
500万円61,00049,00049,00044,00040,00028,000
550万円69,00060,00060,00057,00048,00035,000
600万円77,00069,00069,00066,00060,00043,000
650万円97,00077,00077,00074,00068,00053,000
700万円108,00086,00086,00083,00078,00066,000
750万円118,000109,000109,000106,00087,00076,000
800万円129,000120,000120,000116,000110,00085,000
850万円140,000131,000131,000127,000121,000108,000
900万円151,000141,000141,000138,000132,000119,000

※1:「共働き」は、ふるさと納税を行う方本人が配偶者(特別)控除の適用を受けていないケースを指します。(配偶者の給与収入が201万円超の場合)
※2:「夫婦」は、ふるさと納税を行う方の配偶者に収入がないケースを指します。
※3:「高校生」は「16歳から18歳の扶養親族」を、「大学生」は「19歳から22歳の特定扶養親族」を指します。
※4:中学生以下の子供は(控除額に影響がないため)、計算に入れる必要はありません。
例えば、「夫婦子1人(小学生)」は、「夫婦」と同額になります。また、「夫婦子2人(高校生と中学生)」は、「夫婦子1人(高校生)」と同額になります。
出典:総務省|ふるさと納税ポータルサイト|ふるさと納税のしくみ|税金の控除について

ふるさと納税の控除限度額を確認する際の注意点

ふるさと納税の控除限度額を確認する際には、いくつかの重要な注意点があります。ここでは、以下2つのケースについて解説します。

  • 住宅ローン控除を併用する場合

  • 医療費控除を併用する場合

住宅ローン控除や医療費控除など、他の控除との併用は、慎重に検討する必要があります。これらの控除を受けると、住民税額や所得税額が減少し、結果としてふるさと納税の控除限度額も変動する可能性があるためです。

また、年収が大きく変わる場合や、結婚や出産などで家族構成が変化する場合も、控除限度額に影響を与えます。したがって、これらの変化がある年は特に注意しましょう。

以下では、住宅ローン控除と医療費控除をふるさと納税と併用する場合の具体的な影響について詳しく見ていきます。

住宅ローン控除を併用する場合

住宅ローン控除とふるさと納税は併用できますが、ともに税額を減らす効果があり、その結果税金が控除しきれなくなることがあります。

確定申告した場合、ふるさと納税は所得税では所得控除を通じて、所得税額が減ることとなります。併用した場合、住宅ローン控除を行うときにふるさと納税で減った所得税が控除できず、所得税のみでは引ききれないことがあります。住宅ローン控除は住民税からも控除はできますが、限度があるなどで住民税から引いても適用額全額引ききれないことがあります。そのため、住宅ローン控除とふるさと納税を併用した場合、税金が控除しきれない事態が起こる可能性があります。

医療費控除を併用する場合

医療費控除とふるさと納税も併用することができます。しかし、医療費控除を受けることでふるさと納税の控除限度額に影響が出る可能性があります。

医療費控除を受けると、課税所得が減少します。これにより、ふるさと納税の控除限度額も減少する傾向にあります。

例えば、医療費控除の金額が10万円と算出された場合、2,000~5,000円がふるさと納税の控除限度額から少なくなる可能性があります。ただし、これはあくまで目安であり、実際の影響額は個々の状況によって異なります。

また、医療費控除を受ける場合は確定申告が必要となるため、ふるさと納税のワンストップ特例制度を利用することはできません。確定申告を行う際には、医療費控除とふるさと納税の両方を申告する必要があります。

医療費控除とふるさと納税を併用する場合は、事前に控除限度額の再計算を行うことが重要です。控除限度額の再計算は、①医療費控除の金額の計算、②医療費控除を加味したふるさと納税の控除限度額の計算、という2つのステップで行います。詳しくは以下の記事でも解説しているので、参考にしてみてください。

正確な金額を確認したい場合には、居住地の市区町村の担当窓口や税務署に問い合わせることがおすすめです。専門家のアドバイスを受けることで、最適な寄付額を決定し、効果的にふるさと納税を行うことができるでしょう。

ふるさと納税の手続きの流れ

ふるさと納税を行う際の手続きの流れは、大きく分けて2つの方法があります。1つは確定申告を行う方法、もう1つはワンストップ特例制度を利用する方法です。それぞれの方法について、以下で詳しく解説していきましょう。

ワンストップ特例制度を利用する場合

ワンストップ特例制度とは、確定申告をせずにふるさと納税の寄付金控除が受けられる制度です。この制度を利用すれば、簡単な手続きで控除の申請ができますが、利用には以下のような条件があります。

  • 確定申告の必要がない給与所得者などであること

  • 年間の寄付先が5自治体以内であること

これらの条件に当てはまれば、制度を利用することができます。また、ワンストップ特例制度を利用した、ふるさと納税の手続きの流れは以下の通りです。

  • 5自治体以内でふるさと納税先を選択し、寄付をする(返礼品を申し込む)

  • 寄付した自治体へ、ワンストップ特例申請書を提出する(翌年1月10日必着)

  • 翌年度分の住民税が控除される

ワンストップ特例制度を利用して寄付金控除を受ける際は、寄付した自治体に申請書を送付する手続きが必要です。寄付先が複数あれば、その都度申請が必要になるため、忘れないようにしましょう。

確定申告をする場合

ワンストップ特例制度の利用条件に当てはまらない方や、そのほかの控除との併用を考えている方は、確定申告で寄付金控除の申請を行いましょう。

確定申告をする場合の手続きの流れは以下の通りです。

  • ふるさと納税する自治体を選択する

  • ふるさと納税の申し込みをする

  • 確定申告期間中に、確定申告を行う

  • ふるさと納税した年の所得税控除が実施される

  • 翌年度分の住民税が控除される

確定申告期間は、対象となる年の翌年2月16日から3月15日です。この期間に忘れずに申告しましょう。

源泉徴収票を紛失した場合、ふるさと納税できる?

源泉徴収票を紛失してしまった場合でも、ふるさと納税は可能です。ただし、控除限度額の正確な計算や確定申告には源泉徴収票の情報が必要なため、再発行を依頼することが重要です。

源泉徴収票の再発行は、通常、勤務先に依頼します。従業員からの申し出があれば、基本的に源泉徴収票を再発行してくれるでしょう。

万が一、会社が倒産してしまった場合や、何らかの理由で再発行が困難な場合は、税務署に相談することができます。税務署では、給与支払報告書などの記録をもとに、源泉徴収票に代わる書類を発行してもらえる可能性があります。

また、源泉徴収票が再発行できない場合の対処法としては、給与明細書や銀行の入金記録など、年間の収入が分かる資料を集めることが挙げられます。これらの資料をもとに、税理士や税務署に相談しながら、おおよその控除限度額を算出することも可能です。

ただし、正確な控除限度額の計算には源泉徴収票の情報が最適です。紛失しないよう大切に保管し、電子データとしても保存しておくことをおすすめします。

ふるさと納税を行う際のポイント

最後に、ふるさと納税を行う際のポイントについてみていきましょう。特に初めてふるさと納税をする方は、以下の点に注意しましょう。

  • 事前に自身の控除限度額を確認する:

    控除限度額を超えて寄付をすると、超過分は自己負担となります。シミュレーターや早見表を活用して、自分の控除限度額を確認しましょう。

  • 申込み名義は控除申請者と同じにする:

    例えば、夫婦でふるさと納税をする場合、それぞれの名義で申し込む必要があります。

  • ワンストップ特例制度を利用する場合は、寄付先を5自治体以内にする:

    6自治体以上に寄付する場合は、確定申告が必要になります。

  • 寄附金受領証明書は大切に保管する:

    寄付した自治体から送られてくる書類です。確定申告の際に必要となるだけでなく、ワンストップ特例制度を利用する場合も、申請書と一緒に保管しておくことが重要です。

また、ふるさと納税の本来の目的を忘れないことも大切です。単に返礼品目当てではなく、応援したい自治体や共感できる事業を選んで寄付することで、より意義のあるふるさと納税となるでしょう。

まとめ

本記事では、ふるさと納税における源泉徴収票の重要性と、控除限度額の確認方法について詳しく解説しました。ふるさと納税を行う際には、源泉徴収票の情報をもとに控除限度額を把握することが大切です。シミュレーターや早見表を活用すれば、簡単に控除限度額を確認できます。

ふるさと納税をより効果的に活用したい方には、「ふるラボ」がおすすめです。ふるラボでは、全国の自治体の情報や返礼品を豊富に取り揃えており、自分に合った寄付先を探すことができます。特に、地域の魅力や事業内容をよく理解したい方、返礼品の選択に迷っている方に適しています。ふるラボを活用することで、より意義のあるふるさと納税を実現できるでしょう。