会社員はふるさと納税できる?やり方や会社にバレるとどうなるかわかりやすく解説
寄付によって税金が控除され、返礼品をもらうことができる「ふるさと納税」。実は、会社員も利用できることをご存知ですか。
今回は、会社員のふるさと納税のやり方、控除申請の方法、注意点などを解説。会社員のふるさと納税に関するよくある質問にもお答えしています。
ふるさと納税を行える上限額は、年収・家族構成等によって異なります。3ステップで寄付の限度額がわかる「かんたんシミュレーター」で上限額の目安をチェック!
会社員でもふるさと納税はできる!
会社員は、業種・役職などの制限なく、ふるさと納税を利用できます。
ふるさと納税は、税金を前払いして、後で控除・還付を受ける制度です。ほかにも、ふるさと納税を利用することで、寄付先の自治体が用意する特産物などの返礼品を受け取ることができます。
ふるさと納税をしているのが会社にバレると迷惑がかかる?
ふるさと納税していることが会社にバレても、迷惑はかかりません。これは、ふるさと納税に関して、会社が実施する手続きがないためです。
そのため、ふるさと納税で発行される「寄附金控除に関する証明書」も、会社に提出する必要はありません。
新卒でもふるさと納税はできる?
新卒の会社員でも、ふるさと納税することが可能です。ふるさと納税すると、その年の所得税の還付と翌年の住民税から控除されるため、入社年度に住民税の支払いがない新卒の会社員でも問題ありません。
なお、控除限度額(ふるさと納税できる上限額)は、年収や家族構成で異なります。 例えば、年収350万円の独身の方、あるいは共働きのご夫婦の場合、控除上限額は一人34,000円が目安です。
34,000円の控除上限額でも、地域の特産品から旬の食材、日用品まで、返礼品に多くの選択肢があります。
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会社員がふるさと納税を行うメリット
会社員がふるさと納税を利用すると、以下のようなメリットが享受できます。
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ワンストップ特例制度が利用できる
会社員(給与所得者)の方は、ふるさと納税の寄附金控除の手続きが簡単にできる、ワンストップ特例制度が利用できます。
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通常の納税ではもらえない返礼品がもらえる
ふるさと納税を通じて税金を前払いすることで、地域の特産品をはじめとする返礼品をもらうことができます。
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家計の助けになる
もらった食品や日用品などの返礼品は、家計の助けとすることができます。
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任意の自治体に寄付できる
ふるさと納税ではお住まいの自治体だけでなく、好きな自治体を選んで寄付(納税)することができます。寄付金の使い道も指定することが可能です。
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クレジットカードのポイントが貯まる
ふるさと納税の支払いにクレジットカードを使用することで、決済分のポイントが貯まります。
会社員がふるさと納税を行うデメリット
会社員がふるさと納税を行う際は、以下の点にご留意ください。
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確定申告が必要なケースがある
6つ以上の自治体にふるさと納税する方、もともと確定申告が必要な方などはワンストップ特例制度が利用できず、確定申告が必要となります。
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節税・減税にはならない
ふるさと納税は税金を前払いする制度のため、利用しても節税・減税にはなりません。
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自己負担金が発生する
ふるさと納税をする際は、自己負担金2,000円が必ず発生します。
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正しく手続きする必要がある
ふるさと納税では、控除限度額を確認の上、ふるさと納税する年度の12月31日中までに、申し込み〜決済までを終えることが必要です。
また、税金の還付・控除を受けるためには、ワンストップ特例申請書類の提出や確定申告も必要です。正しい手順で、正しく手続きをしないと、税金が控除されない可能性もあります。
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会社員のふるさと納税のやり方
会社員のふるさと納税の手順は、以下の4ステップに大別できます。
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ふるさと納税の控除限度額を計算する
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寄附する自治体と返礼品を選ぶ
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返礼品と寄附金受領証明書を受け取る
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寄附金控除の申請を行う
1.ふるさと納税の控除限度額を計算する
ふるさと納税では、税金が控除できる上限として「控除限度額」が設定されています。控除限度額は、年収や家族構成などに応じて個々人で異なるため、事前に計算して把握しておくことが重要です。
ふるさと納税の控除限度額は、所得税と住民税のそれぞれの控除額を割り出し、足すことで計算できます。手作業でも可能ですが、計算が少し煩雑なため、以下のようなシミュレーターを利用すると便利です。
控除限度額が簡単にわかるほか、 計算ミスの心配もないため、ぜひシミュレーターを利用しましょう。
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2.寄附する自治体と返礼品を選ぶ
ふるさと納税は、通常の納税とは異なり、任意の自治体(好きな自治体)を選んで寄付することが可能です。「欲しい返礼品のある自治体」「応援したい自治体」などから、寄付する自治体と返礼品を選びましょう。
ふるさと納税サイトを利用すると、魅力的な自治体や返礼品を効率よく見つけることができて、便利です。欲しい返礼品をカートに追加・保存できるほか、まとめて申し込むこともできます。
返礼品を選んだ後は、申込者の情報と支払い情報を入力して、決済します。
3.返礼品と寄附金受領証明書を受け取る
決済後、早ければ数週間程度で、自治体から返礼品と寄附金受領証明書が送られてきます。寄附金受領証明書は、寄付を証明する大切な種類で、これまで確定申告時に添付することが義務付けられていました。
しかし2021年より、国税庁が認可するふるさと納税サイトを利用することで、e-Taxでの確定申告では、寄附金受領証明書の添付が不要(データ送信のみでOK)となりました。
また、紙の書類で確定申告する場合も、国税庁が認可するふるさと納税サイトから証明書のデータがダウンロード・印刷できます。
4.寄附金控除の申請を行う
ふるさと納税で寄附金控除を受けるためには、申請を行う必要があります。具体的な申請方法は、「ワンストップ特例制度」「確定申告」のいずれかです。
ワンストップ特例制度は寄付した翌年の1月10日必着、確定申告は寄付した翌年の2月16日(還付申請なら1月4日)〜3月15日におこなってください。
会社員の寄附金控除の申請方法は2つ
会社員の寄附金控除には、以下2つの申請方法があります。
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ワンストップ特例制度
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確定申告
ワンストップ特例制度
ワンストップ特例制度は、確定申告なしでふるさと納税の寄付金控除が受けられる制度です。納税者の負担を軽減するために、2015年よりスタートしました。
なお、ワンストップ特例制度は誰でも利用できるわけではなく、以下の条件を満たす必要があります。
【ワンストップ特例制度の利用条件】
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年間のふるさと納税先が5自治体以下
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ふるさと納税する年度に医療費控除などで確定申告を実施する必要がない
ワンストップ特例制度の申請に必要な書類
ワンストップ特例制度の申請には、以下2つの書類が必要です。
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特例申請書
ふるさと納税先の自治体より、寄附金受領証明書と同時に郵送されるケースが多いです。
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本人確認書類
マイナンバーカードのコピーが必要です。マイナンバーカードをお持ちでない場合は、以下いずれかの書類セットが必要となります。
- ①「マイナンバー通知カードのコピー/マイナンバー記載の住民票の写し」のいずれか1点 + 「運転免許証のコピー/パスポートのコピー」のいずれか1点
- ②「マイナンバー通知カードのコピー/マイナンバー記載の住民票の写し」のいずれか1点 + 「健康保険証のコピー/年金手帳のコピー/自治体が認める公的書類のコピー」のいずれか2点
ワンストップ特例制度の申請手順
ワンストップ特例制度の申請手順は、以下の通りです。
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5つ以内でふるさと納税する自治体を選ぶ
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ワンストップ特例の申請書を、ふるさと納税する各自治体へ提出する
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住民税が翌年度に控除される
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確定申告
確定申告は、年間の所得と所得税の金額を、国に報告する手続きです。一定以上の収入を得ている個人事業主(フリーランス)は、毎年の確定申告が必須となります。
ただし、会社員などの給与所得者でも、以下に該当する方は、確定申告が必要です。
【確定申告の利用条件】
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6自治体以上にふるさと納税する方
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給与の収入が年間2,000万円を超える方
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20万円を超える副業所得がある方
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2カ所以上から給与を受け取っている方
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住宅ローン控除や医療費控除の申請をする方 など
確定申告の申請に必要な書類
ふるさと納税の寄付金控除を確定申告で受ける際は、以下の書類が必要です。
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確定申告書(所得税及び復興特別所得税の確定申告書)
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マイナンバーカード{もしくは身元確認書類+番号確認書類(マイナンバーが書かれている住民票など)}
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対象年の源泉徴収票(もしくは収入がわかる書類)
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本人名義の銀行などの口座番号がわかるもの(還付金の受け取り用)
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寄附金受領証明書
確定申告の申請手順
確定申告の申請手順は、以下の通りです。
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ふるさと納税する自治体を選ぶ(5自治体を超えてもOK)
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ふるさと納税を実施する
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ふるさと納税した年度の確定申告を実施する
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ふるさと納税を実施した年の所得税から控除される
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翌年度に住民税が控除される
会社員がふるさと納税をする際の注意点
ふるさと納税をする際は、以下の5点にご注意ください。
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寄附金が戻ってくるまで時間がかかる
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控除限度額を超えた場合は自己負担になる
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減税・節税対策にはならない
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医療費控除など他の控除と併用する場合は注意
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申込み名義は控除申請者と同じにする必要がある
寄附金が還付・控除されるまで時間がかかる
ふるさと納税による寄附金の還付・控除は、すぐに実施されるわけではありません。具体的に、所得税の還付は「確定申告をしてから最短で数週間後」、住民税の控除は「翌年度の6月以降」となります。
直近で大きな出費を控えていたり、生活資金に余裕のない場合は、ふるさと納税の利用を慎重にご検討ください。
控除限度額を超えた場合は追加の自己負担が発生する
控除限度額を超えて寄付をした場合、超えた分の金額は控除されません。つまり、控除限度額を超えれば追加の自己負担が発生します。
控除限度額を超えた寄付は禁止されていませんが「どうしても欲しい返礼品がある」などの場合を除いて、メリットはありません。
減税・節税にはならない
ふるさと納税は、利用者が選んだ任意の自治体へ、寄付という形で税金を前払いします。
つまり、本来支払うべき税額は変わらないため、減税や節税の手段とはなりません。
住宅ローン控除など他の控除と併用する場合は注意
ふるさと納税と他の控除を併用する場合は、以下の2点にご注意ください。
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控除限度額が減るケースがある
ふるさと納税で確定申告する場合、住宅ローン控除を併用すると、住宅ローン控除額が減少する可能性があります。
また、ふるさと納税と医療費控除を併用して課税所得が減った場合、ふるさと納税の控除限度額も減少します。 -
ワンストップ特例制度が利用できないケースがある
ふるさと納税と医療費控除を併用する場合、ワンストップ特例制度が利用できません。医療費控除には、確定申告が必須となるためです。
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申し込み名義は控除申請者と同じにする必要がある
ふるさと納税の申し込み名義は、所得税や住民税の控除を受ける方と同じ必要があります。
そのため「家族名義のふるさと納税を、夫が代表して支払う」「夫名義のふるさと納税を、妻名義のカードで支払う」などはできません。
ふるさと納税で控除されているか確認する方法
ふるさと納税が正しく控除されているかは「住民税決定通知書」を見ると分かります。不明点があれば、各自治体へお問い合わせください。
正しく控除できていないことが判明した場合は、確定申告ほか、確定申告の更正の請求(修正申告)を実施しましょう。
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会社員のふるさと納税に関するよくある質問
最後に、会社員のふるさと納税に関するよくある質問にお答えします。
Q.会社員がふるさと納税をする場合、会社に伝える必要はある?
会社に伝える必要はありません。ふるさと納税の諸手続きは、個人でおこない、会社ですべき手続き等がないためです。
そのため、各自治体から送られる「寄付金受領証明書」の提出も不要です。
Q.会社員がふるさと納税する場合、年末調整で控除できる?
生命保険料の控除などとは異なり、ふるさと納税は年末調整で控除できません。これは、ふるさと納税の手続きを従業員が個々人で実施しなければならないためです。
具体的には、すでにご紹介したように、ワンストップ特例制度か確定申告が必要となります。
Q.会社員でもふるさと納税をしたら確定申告が必要?
会社員などの給与所得者の方は、ワンストップ特例制度が利用できるため、確定申告は不要です。ただし、以下に該当する場合は確定申告が必要となります。
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6自治体以上にふるさと納税する場合
ワンストップ特例制度が利用できるのは「5自治体以下までのふるさと納税」です。
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もともと確定申告が必要な場合
年収2,000万円超・副業所得20万円超・2カ所以上から給与を受け取る会社員の方ほか、医療費の控除申請をする方、住宅ローンの初回申請をする方などは、確定申告が必要です。給与の年収2,000万円超・副業所得20万円超・2カ所以上から給与を受け取る会社員の方ほか、医療費の控除申請をする方、住宅ローン控除の初回申請をする方などは、確定申告が必要です。
まとめ
会社員の方は、新卒からふるさと納税することができます。ふるさと納税では、お好きな自治体に寄付(納税)することで、所得税・住民税の控除が受けられ、多様な返礼品をもらうことが可能です。
会社員(給与所得者)は、ワンストップ特例制度を利用すると、簡単に寄付金控除の申請ができます。ただし、年間のふるさと納税先の自治体が6つ以上の方や、もともと確定申告の必要な方はワンストップ特例制度が利用できません。
また、控除限度額を超えた寄付は、全額自己負担となるため「かんたんシミュレーション」で、事前に控除限度額を調べましょう。
朝日放送テレビ(ABC)の「ふるラボ」では、ふるさと納税の疑問を解消するコラムを多数用意していますので、 他にわからない点がある方はチェックしてください。
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